逆張りEAは、バックテストで勝率が高く見えやすい反面、1回のトレンド相場で口座が崩れることがあります。実際に「勝率90%超なのに、DD(最大ドローダウン)が深い」「勝っているのにPF(利益効率)が伸びない」といった、数字の見え方とリスクが噛み合わないEAが少なくありません。
そこで本記事では、MT4/MQL5で入手できる無料の逆張りEA14本を、同じ条件でバックテストし、総取引数/勝率/PF/DDの4指標で統一比較しました。見るべき順番はシンプルで、DD → PF → 取引数 → 勝率。これだけで「一撃で崩れるタイプ」をかなりの確率で回避できます。
まずは比較表で全体像をチェックし、気になるEAだけ個別レビューへ進んでください。レビューは「結論 → 数値 → 注意点」の順で整理しているので、拾い読みでも判断できます。
※本記事の結果は検証条件下での比較であり、将来の利益を保証するものではありません。運用する場合は、まずはデモや小ロットで挙動確認をおすすめします。
比較表|無料逆張りEA14本のバックテスト結果一覧(勝率・PF・DD)
今回バックテストした無料逆張りEA14本を、総取引数/勝率/PF(利益効率)/DD(最大ドローダウン)の4指標で一覧比較しました。
逆張りEAは勝率が高く見えやすいため、この記事では見る順番を DD → PF → 総取引数 → 勝率 に統一しています。
まずはこの表で、DDが深い“事故型”を先に除外し、次にPFで「長期でプラスになり得るか」を確認してください。
なお、取引数が少ないEAやPFが計測できないものは、数値がブレやすいので参考枠として扱い、個別レビューで挙動とリスク設計まで確認するのがおすすめです。
まずは DDが深いEA(目安:50%超)を“注意喚起枠”として先に見分け、次に PF1.0以上のEAを優先して個別レビューを読むのがおすすめです。
ただし本記事では、危険パターンも含めて判断材料にできるよう 14本すべて個別レビューしています。
| EA名 | 総取引数 | 勝率 | PF | DD |
|---|---|---|---|---|
| EA Gap Catcher | 157 | 91.72% | 2.02 | 0.14% |
| Honmaka Robot | 82 | 90.24% | 6.12 | 0.46% |
| Vino Free EA | 127 | 64.57% | 0.73 | 0.81% |
| Contrarian Forex Options MT4 | 305 | 73.77% | 1.69 | 2.63% |
| Multi Indicator Reversal EA | 50 | 26.00% | 0.56 | 3.71% |
| Vanda FX | 4 | 100.00% | 計測不可(サンプル不足) | 8.76% |
| Stratos Zephyr | 259 | 78.38% | 3.44 | 9.12% |
| FadeStormPro | 267 | 55.81% | 0.68 | 17.24% |
| Infinitely Just | 345 | 68.99% | 0.69 | 19.26% |
| Forex Seeker | 15 | 73.33% | 2.20 | 56.62% |
| Vanexio | 7 | 28.57% | 0.08 | 93.16% |
| Convergence Pro | 23 | 86.96% | 0.10 | 93.49% |
| Gloxen FX Gold EA | 35 | 80.00% | 0.90 | 93.94% |
| Moving Along Gold EA | 6 | 66.67% | 0.53 | 94.02% |
注意書き(必ずお読みください)
本記事は、MQL5/MT4の無料EAを特定条件のバックテスト結果にもとづいて比較した情報です。
将来の利益を保証するものではなく、相場状況・スプレッド・約定・サーバー環境・設定変更などにより、実運用の成績は大きく変動します。
また、掲載している数値(勝率・PF・DDなど)は当サイトの検証環境における結果であり、別環境で同じ結果になるとは限りません。
EAの導入・運用は自己責任で行い、損失が発生しても当サイトは責任を負いません。必要に応じてデモ口座での検証や少額運用から始めてください。
※当記事は投資助言を目的としたものではありません。判断はご自身で行ってください。
【結論】今回の条件で残った無料逆張りEA/注意が必要なEA
検証結果が良かった(今回の条件で優位性が見えた)
- Honmaka Robot(勝率90.24% / PF6.12 / DD0.46%)
- EA Gap Catcher(勝率91.72% / PF2.02 / DD0.14%)
- Stratos Zephyr(勝率78.38% / PF3.44 / DD9.12%)
- Contrarian Forex Options MT4(勝率73.77% / PF1.69 / DD2.63%)
現状のままだと“マイナス”だが、調整で化ける余地はある(要再検証)
- FadeStormPro(PF0.68 / DD17.24%)
- Infinitely Just(PF0.69 / DD19.26%)
- Multi Indicator Reversal EA(PF0.56 / DD3.71%)
- Vino Free EA(PF0.73 / DD0.81%)※DD低いが収益性が弱い
注意喚起枠(今回のテストでは致命的なDDが出た)
- Vanexio / Gloxen FX Gold EA / Moving Along Gold EA / Convergence Pro(DD93%台)
- Forex Seeker(DD56.62%)
- Vanda FX(取引数4で判断不可だが、マーチン前提のため扱い注意)
今回の検証条件(バックテスト環境)
今回の検証は、無料EAを「導入前にふるい分けする」目的で、条件をできるだけ統一して実施しました。検証条件は以下のとおりです。
・検証期間:2023.01.01~2024.01.01
・検証通貨ペア:XAUUSD / EURUSD / AUDNZD
・スプレッド(固定):XAUUSD=20ポイント、AUDNZD=10ポイント、EURUSD=2ポイント
・初期資金:1,000,000円
・EA設定:各EAともデフォルト設定のまま
・未決済ポジション:期間内で決済されなかったポジションは期間終了時点で強制決済
最適化を前提にすると「設定が良かっただけ」のEAが混ざりやすく、14本比較としてフェアになりにくいので、まずはデフォルトのまま同条件で回し、DD(資金の削れ方)とPF(利益効率)を中心に“危険度”を見える化しました。
※逆張りEAは相場環境の影響が大きいため、ここでの結果は将来の利益を保証するものではありません。次は、比較に使う4指標(総取引数・勝率・PF・DD)の意味と見方を解説します。
検証期間の日足(D1)チャート画像



指標の見方|DD・PF・勝率・取引数(逆張りEAはこの順で見る)
ここからは、比較表で使う4つの指標(総取引数・勝率・PF・DD)を整理します。逆張りEAは「勝率が高く見えやすい」ため、数字の意味を取り違えると判断を誤りがちです。この記事では、次の順番で見ることを推奨します。
DD → PF → 総取引数 → 勝率
総取引数(トレード回数)
総取引数は、検証期間中に行われた取引回数です。取引回数が少ないEAは、たまたま相場が噛み合っただけで良く見えることがあり、評価の信頼性が下がります。逆に取引回数が多いほど「その条件でどう動くEAか」を判断しやすくなります。
※ただし、取引回数が多い=優秀ではありません。スキャルピング寄りのEAは取引回数が増えやすい点も踏まえて見ます。
勝率(勝ちトレードの割合)
勝率は、全取引のうち利益で終わった割合です。逆張りEAでは小さな利確が積み上がりやすく、勝率が高めに出ることがあります。ここで注意したいのは、勝率が高くても「負けが大きい」設計だとトータルで負けることがある点です。
そのため勝率は、最後に参考として見る位置づけにしています。
PF(プロフィットファクター)
PFは、総利益 ÷ 総損失で表される「利益効率」です。
・PFが1.00より大きい:理論上、利益が損失を上回っている
・PFが1.00未満:理論上、損失が利益を上回っている
逆張りEAの比較では、勝率よりPFのほうが“中身”を表します。勝率が高くてもPFが低い場合は、負けたときの損失が大きく、長期的に不利になりやすいサインです。
DD(最大ドローダウン)
DDは、運用中に資金が最大でどれだけ減ったか(最大の落ち込み)を示す指標です。逆張りEAで最重要なのがこのDDで、ここが深いEAほど「相場が噛み合わないときに資金が大きく削られる」リスクが高いと判断できます。
特に回収型(マーチン・グリッド・ヘッジ)ではDDが急増しやすいため、まずDDを見て危険度を把握し、そのうえでPFで“稼ぐ力”を確認する流れが安全です。
逆張りEAとは?仕組みと特徴をわかりやすく解説
逆張りEAとは、相場が「上がりすぎ・下がりすぎ」と判断できる局面で、トレンドに逆らってエントリーし、反転(戻り)を狙って利益を取る自動売買のことです。代表的なのは、RSIなどのオシレーターで過熱感を見たり、ボリンジャーバンドの上限・下限の外側に飛び出した動きを「行き過ぎ」とみなして逆方向に入るタイプです。
逆張りEAの強みは、レンジ相場や短期の行き過ぎが多い局面で機能しやすく、小さな利確を積み上げやすい点にあります。そのため、バックテストでは勝率が高く見えることも珍しくありません。一方で、相場が一方向に強く伸びるトレンド局面では反転が来ないまま逆行が続き、含み損が膨らみやすいという弱点を持ちます。ここが「勝率は高いのに、ある時期に大きく崩れる」原因になりやすいポイントです。
さらに逆張りEAには、負けを取り戻すためにポジションを追加したりロットを増やす“回収型”の設計(例:マーチンゲール、グリッド、ヘッジ併用)も多く存在します。これらは短期的には成績を安定させやすい反面、相場環境が噛み合わないとDDが一気に深くなることがあります。だからこそ、逆張りEAを評価するときは「勝率」よりも、DDとPFを優先して見る必要があります。
逆張りEAのメリット・デメリット
逆張りEAは「相場の戻り」を狙うため、うまくハマると安定して利益を積み上げやすい一方で、相場環境が変わると急に成績が崩れることもあります。ここでは、導入前に押さえておくべきメリット・デメリットを整理します。
まずメリットは、狙う値幅が比較的小さいため、トレンドが出ていない相場や値動きが行ったり来たりする局面で機能しやすいことです。短期の過熱→反転を拾うEAは、エントリーの機会も確保しやすく、バックテスト上は勝率が高めに出ることがあります。また、ロジックが単純なものから、多指標+フィルターで精度を高めたものまで幅が広く、自分の運用スタイルに合わせて選びやすい点もメリットです。
一方でデメリットは、「反転が来ない相場」に弱いことです。相場が一方向に伸び続ける局面では、逆張りは含み損を抱えやすく、損切りが連続したり、回収型だとポジションが積み上がってDDが深くなるリスクがあります。特に無料EAでは、ハイリスクな資金管理(マーチン・グリッド)を採用している例もあり、勝率が高く見えても長期運用で破綻しやすいケースがあります。
だからこそ逆張りEAは、「勝率が高いから」ではなく、DD(最大ドローダウン)とPF(利益効率)を中心に安全性を評価し、相場環境が変わったときの耐性まで含めて選ぶことが重要です。次のH3では、具体的なメリット・デメリットをもう少し分解して解説します。
メリット:小さな利確を積み上げやすい
逆張りEAの最大のメリットは、狙うのが「大きなトレンド」ではなく、**短期の戻り(反発)**である点です。相場は一直線に進むより、上げ下げを繰り返しながら進むことが多く、逆張りはその“揺れ”を利益に変えやすい戦略になります。
例えば、RSIの過熱やボリンジャーバンドの外側へのはみ出しをきっかけにエントリーし、数pips〜数十pipsの反発で利確する設計なら、反転の幅が小さくても利益が出せます。そのため、順張りのように「トレンドが出ないと稼げない」という依存が比較的少なく、相場がレンジ気味でもコツコツ型の収益になりやすいのが特徴です。
また、利確幅が小さい=「利確までの距離が近い」ので、バックテスト上は勝ちトレードが増えやすく、運用者の心理的な負担が軽くなる面もあります。特に初心者ほど「損切りが続く」より「勝ちが積み上がる」方が続けやすいので、逆張りEAが魅力的に見えやすい理由の一つです。
ただし、このメリットは裏返しでもあります。小さな利確を積み上げるほど、負けるときに一度で取り返せない損失を出すと崩れやすいので、次章で触れるデメリット(トレンドで焼かれる/DDが深くなる)とセットで理解することが重要です。
メリット:レンジ相場で機能しやすい
逆張りEAは、相場が一定の範囲で上下を繰り返すレンジ相場で本領を発揮しやすい戦略です。レンジでは「上がれば売られ、下がれば買われる」という往復運動が起きやすく、過熱感(過買い・過売り)も発生しやすいため、逆張りロジックが素直に機能します。
特に、ボリンジャーバンドやRSIを使うタイプは、レンジの上限付近で売り、下限付近で買い、という形でエントリーの根拠が作りやすく、短い反発でも利確できる設計なら取引も成立しやすくなります。結果として、トレンドフォロー型のEAが苦戦しがちな局面でも、逆張りEAは取引チャンスを確保しやすいのがメリットです。
また、レンジ相場では含み損が深くなりにくい傾向もあります。トレンドのように一方向へ伸び続ける動きが起きにくいため、逆行しても戻りが入りやすく、損切りに到達する前に決済できる場面が増えます。回収型の設計(ポジション追加で戻りを待つ)も、レンジに限って言えば“噛み合う”ことが多く、バックテストで成績が良く見えやすい理由にもなります。
ただし、レンジ相場で強い=常に強い、ではありません。レンジが崩れてトレンドに移行した瞬間に成績が急変することがあるため、記事内の比較でも「レンジ向きの安定感」だけでなく、トレンド局面でDDがどこまで深くなるかを重視して評価していきます。
デメリット:強いトレンド相場でDDが急増しやすい
逆張りEAの最大の弱点は、強いトレンド相場です。トレンドが発生すると「行き過ぎ」に見える状態が長く続き、逆張りで入っても反転せずにさらに逆行することがあります。すると損切りが連発したり、損切りを広く取っているEAでは含み損を長く抱えたままになり、DD(最大ドローダウン)が一気に深くなる原因になります。
逆張りは「戻ること」が前提なので、相場が一方向に伸び続ける局面では、前提が崩れます。とくに、指標発表後の急変動、リスクオン/オフで相場の地合いが変わったとき、金利差やテーマで一方向に走るときなどは、反転が小さくなったり、戻りが入る前に再加速することも多く、逆張りは踏まれやすくなります。
さらに、逆張りEAの多くは「小さく勝って、たまに大きく負ける」形になりがちです。普段は利確が積み上がっても、トレンドの一撃でそれまでの利益が吹き飛ぶことがあり、結果として「勝率は高いのに、トータルで負ける」「急に口座が崩れる」といった現象が起きます。今回の検証でも、勝率が良く見えてもDDが深いEAが存在し、勝率だけでの評価が危険だと分かりました。
だからこそ逆張りEAは、勝率を見て安心するのではなく、まずDDを確認し「最悪どこまで耐える設計なのか」を把握することが必須です。次の項目では、DD急増の原因になりやすい“回収型(マーチン・グリッド・ヘッジ)”について、もう一段深く整理します。
デメリット:回収型(マーチン・グリッド・ヘッジ)は破綻リスクが跳ねる
逆張りEAで特に注意すべきなのが、負けを取り戻す仕組みを組み込んだ回収型です。代表例がマーチンゲール(負けるほどロットを増やす)、グリッド(逆行するほど一定間隔でポジションを増やす)、そしてヘッジ併用(反対ポジションで損失を一時的に固定する)です。これらは短期的には成績を“安定して見せやすい”一方で、相場環境が噛み合わないと破綻リスクが一気に跳ね上がる構造を持ちます。
回収型が怖いのは、損失が「比例」ではなく「加速」しやすい点です。
- マーチンはロットが指数的に増えやすく、数回の連敗で必要証拠金が急増します。
- グリッドはトレンドが長引くほどポジション数が増え、含み損とスワップ負担が積み上がります。
- ヘッジは“その場しのぎ”はできても、解除の判断次第で損失が残り、結局は資金効率が悪化することがあります。
その結果、普段は小さな利確が続いて勝率も高く見えるのに、たった一度の大相場でDDが深くなり、取り返しがつかなくなるケースがあります。特に無料EAの場合、ロットやロジックの制限があったり、説明が強気でもリスク設計が粗いこともあるため、数字の見た目に引っ張られやすい点に注意が必要です。
本記事の検証でも、取引回数がそこまで多くなくてもDDが極端に深いEAが確認できました。これは「逆張りが悪い」というより、回収型の特性として**“事故が起きたときの下振れが大きい”**ことを示しています。だから回収型を選ぶ場合は、勝率よりもまずDD、次にPFを見て、最悪ケースに耐えられる設計かどうかを確認することが必須です。
【選び方】無料逆張りEAで失敗しない判断基準
無料の逆張りEAは、バックテスト上「勝率が高く見える」ことが多い反面、相場が噛み合わない局面で一撃崩壊しやすいタイプも混ざります。だからこそ、判断基準はシンプルに固定するのが安全です。
本記事では DD → PF → 取引数 → 勝率 の順で見るルールに統一し、「数字の見栄え」に騙されにくい選び方を整理します。
1)最優先はDD(最大ドローダウン)|“事故るEA”を最初に落とす
逆張りで一番怖いのは「負け方」です。普段勝てていても、トレンド局面で含み損が膨らみ、取り返せない損失になることがあります。
そこで最初に見るべきは DD=資金の削れ方。DDが深いEAは、勝率やPFが良く見えても“いつか焼かれる”リスクを内包しやすいです。
目安(実運用の現実感として)
- DDが50%超:精神的にも証拠金的にも継続が難しくなりやすい
- DDが80〜90%台:今回の検証でも“ほぼ壊滅”に近い挙動。原則「注意喚起枠」
※DDは「結果」なので、次の項目(回収型の有無)とセットで原因まで確認します。
2)次にPF(プロフィットファクター)|1未満は基本“負け構造”
PFは 総利益 ÷ 総損失 なので、勝率よりも「損益の構造」を素直に映します。
- PF > 1.00:理論上プラス
- PF < 1.00:理論上マイナス(=勝ってるように見えても負けている可能性が高い)
逆張りでありがちなのが、勝率は高いのにPFが低いパターンです。これは「負けるときの損失が大きい」設計になりやすく、長期で不利になりがちです。
まずは PFが1以上かどうかで、候補をはっきり分けるのがおすすめです。
3)取引数(サンプル数)|少ないEAは“判断保留”が正解
無料EAは、テスト期間や通貨ペアの相性で「たまたま良い/悪い」が起きやすいです。
だから取引数が少ないEAは、勝率100%でも評価してはいけません(逆に悪くても断定できません)。
見方のポイント
- 取引数が極端に少ない(例:数回〜十数回)
→ PFが計測不可になったり、偶然の要素が強いので「参考枠」 - 一定数の取引がある
→ その条件での“傾向”が見えやすい(ただし過信はしない)
「取引数が少ない=ダメ」ではなく、結論を出すには材料が足りないという扱いにするのが安全です。
4)勝率は最後|“高勝率=安全”ではない
逆張りEAは「小さく利確しやすい」ので、勝率は上がりがちです。
でも勝率が高くても、1回の負けが大きい設計ならトータルでは負けます。
勝率の正しい使い方
- 勝率は“性格”を見る指標(コツコツ型っぽい/波が荒い など)
- 判断の決定打にはしない(DDとPFが上に来る)
この記事のルールどおり、勝率は「最後に補助的に見る」でOKです。
5)“回収型(マーチン/グリッド/ヘッジ)”を見抜く|一撃型のリスク源
逆張りEAでDDが深くなりやすい主因が、回収型のポジション管理です。
回収型は普段の成績が良く見えやすい一方、相場が戻らない局面で 損失が加速しやすいのが本質的な弱点です。
回収型を疑うチェックポイント
- 「全ポジションを利益でクローズ」「バスケット決済」などの表現がある
- Max Orders / Max Basket Size のように“抱える前提”の項目がある
- Lot Multiplier / Martingale / Grid が明記されている
- DD制限や停止条件が弱い(または存在しない)
回収型がすべて悪い、という話ではありません。ただし選ぶなら、**最大ポジション数・ロット増加・停止条件(DD制限)**まで含めて「最悪ケースで止まる設計か」を最優先で確認してください。
6)“数字の矛盾”を疑う|見た目に騙されない典型パターン
無料逆張りEAでよく出る「勘違いパターン」を、あらかじめ潰しておくと失敗率が下がります。
- 勝率が高いのにPFが低い
→ “負けがデカい”可能性。勝率で安心しない - DDが低いのにPFが1未満
→ ロットが小さく、損益の振れは小さいが“コツコツ負け”の可能性 - 取引数が少ないのにDDだけ深い
→ 1回の事故で崩れる設計の疑い(回収型に多い)
「数字が良い/悪い」だけで終わらせず、なぜその組み合わせになったかを読むのがコツです。
7)この手順で選べば迷わない|判断フロー(コピペ用)
最後に、実際に選別するときの手順をテンプレ化しておきます。
- DDで足切り(深いものは原則除外/注意喚起枠へ)
- PFが1以上か確認(1未満は基本“候補外”)
- 取引数で信頼度を判定(少ないものは「判断保留」へ)
- 勝率は補助(高勝率でもDDとPFが悪ければ落とす)
- 回収型かどうかを確認(最大ポジ数・ロット増加・停止条件まで見る)
- 最後に デモ or 小ロットで挙動確認(スプレッド拡大・滑り・約定差の影響を見る)
※本記事の比較は「同条件でふるい分けする」目的の検証です。最終判断は、相場環境・ブローカー条件・運用資金に合わせて、必ず段階的に検証してください。
逆張りEAの個別レビュー(全14本)
ここから先は、検証した逆張りEAを1本ずつレビューします。レビューは長くなりますが、読む順番はおすすめがあります。
・まず比較表で気になるEAを2〜3本に絞る
・そのEAだけ個別レビューを読む
・最後に「選び方」の章で判断基準を再確認する
各レビューでは、以下の流れで統一しています。
1)EAのロジック要約(どういう逆張りか)
2)検証結果(総取引数・勝率・PF・DD)
3)読み解き(数字が意味すること)
4)注意点(無料EAとしての制約/リスク設計の癖)
※なお、検証はデフォルト設定・固定スプレッド・期間終了時の強制決済を含むため、結果はあくまで「同条件での比較」です。将来の利益を保証するものではありません。
EA Gap Catcher|AUDNZDの窓埋め(ギャップ)だけを狙うM1逆張りEA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:157
- 勝率:91.72%
- PF:2.02
- DD:0.14%

概要(このEAは何をする?)
EA Gap Catcher は、週明けや急な価格飛びで発生する「ギャップ(窓)」の埋め戻しだけを狙う、フルオートの逆張りEAです。AUDNZDのM1での運用を前提に設計されており、「発生頻度は少ないが、発生したときに高確率で窓埋めを取りにいく」タイプの戦略になっています。最小入金10USD・レバレッジ1:100以上が推奨と、少額口座でも動かしやすい設計です。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
このEAは、一定以上のギャップが発生したときだけエントリーします。MinDistancePoints でギャップの最小幅を指定し、その条件を満たしたときに、価格が「元のレベルへ戻る方向」に逆張りでポジションを持ちます。利確は PercentProfit によって「ギャップ幅に対する%」で決まり、窓の一定割合を埋めたところで決済するイメージです。損切りは SLPoints の固定pipsで管理され、ロットは Lot Mode によって固定ロット(Fix_Lot)か動的ロット(Dynamic_Lot)を選択できます。スプレッド上限や Magic 番号も持っているので、他EAとの併用・ポジション識別もしやすい構成です。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
総取引数157は「超多頻度ではないが、戦略の傾向をつかむには十分な件数」です。勝率91.72%という数字は、ギャップ埋めという逆張りロジックらしく「一回一回のトレードはかなり高確率で決まる」設計であることを示しています。PF2.02は、1単位の損失に対して約2倍の利益を積み上げている状態で、コツコツ型のEAとしては悪くない水準です。特に注目したいのがDD0.14%という値で、今回のテスト条件に限れば「資産曲線がほとんど大きく凹んでいない」という結果になっています。ただし、この低DDはギャップ発生頻度やテスト期間の相場環境にも依存するため、過信せず複数期間での再検証が前提になります。
リスクと注意点(運用前に確認しておきたいポイント)
ギャップトレードのリスクは、「窓がそのまま拡大してしまうケース」です。強いファンダメンタルズ材料やニュースで窓が空いたとき、価格が元の水準に戻らず、一方向に伸び続けることがあります。その場合、SLPoints まで逆行して損切りになるため、パラメータの損切り幅と想定DDのバランスを事前にシミュレーションしておく必要があります。また、ギャップは主に市場オープン付近で発生するため、その時間帯のスプレッド拡大や約定滑りの影響を受けやすい点も注意したいところです。ロット設定については、Dynamic_Lot を使う場合は口座残高に応じてポジションサイズが変化するため、想定最大DDと組み合わせて「この口座残高ならロットはいくつまで」といった運用ルールを決めておくと安心です。
Vanda FX|トレンド波動+オシレーターで反転を狙い、マーチンで“全体利益クローズ”を目指すゴールドEA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:4
- 勝率:100%
- PF:計測不可(サンプル不足)
- DD:8.76%

概要(このEAは何をする?)
Vanda FX は、XAUUSD(GOLD)を対象に、いわゆる「波動の切り替わり(新しいトレンド波の始まり・終わり)」と、オシレーターによる買われすぎ/売られすぎの判定を組み合わせて、短期の反転(戻り)を狙うEAです。時間足はH1以上を推奨しており、エントリー頻度は多くないものの「スマートなエントリーで低リスク」と謳っています。一方で最大の特徴は、損失が出たポジションに対してポジションを重ね、最終的に“全ポジションを利益で閉じる”ことを狙う マーチンゲール系のポジション管理を前提にしている点です(逆張りEAの中でも、運用設計の理解が必須なタイプ)。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
EA製作者の説明文から読み取れる範囲では、エントリー判断の中心は「Trend Wave Indicator(トレンド波動)」で、波の始点・終点のようなタイミングを捉える設計です。さらにオシレーター的な役割として、過熱感(Overbought / Oversold)を見て反転を拾う方向に働きます。パラメータを見ると、EMA(移動平均)、ボリンジャーバンド(BB_Period / Deviations)、エンベロープ(ENVeLOPE PERIOD / DEVIATIONS)など、複数のフィルターで“行き過ぎ”や“波の転換”を定義している構成です。加えて、取引時間帯(Start Time / End Time)やトレーリング(Trailing_*)も用意されているため、エントリーそのものだけでなく「利益の伸ばし方/回収の仕方」を調整する余地があります。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
今回の総取引数は4と非常に少なく、勝率100%でも「たまたま勝った」可能性を排除できません。この取引数だとPFが計測できない(または意味を持ちにくい)のも自然で、成績評価としては“参考程度”に留めるべきです。一方で、取引数が少ない段階でもDDが8.76%出ているのは重要なシグナルです。これは、勝って終わったとしても途中で含み損が膨らみやすい、あるいはポジションを重ねる局面が発生しうる設計(=マーチン系に典型的)であることを示唆します。つまり「勝率」よりも「DDと含み損の膨らみ方」に重心を置いて再検証しないと、運用判断を誤りやすいタイプです。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
Vanda FX は明確に **マーチンゲール(Martingale)**を採用しており、負けを取り返す方向にロットを増やす(またはポジションを追加する)設計になっています。仕様上も「最大20ポジションまで」「最大保有10日」「平均保有3日」とされているため、相場が逆行したときにポジションが積み上がり、証拠金を圧迫する展開が想定されます。さらに最低入金が$20000(または20000 cent)と高めに設定され、レバレッジ1:500を前提としている点からも、資金余力を持たせて“耐える”設計であることが読み取れます。運用するなら、MAX_Order(最大ポジション数)、Maximum_Drawdown(DD制限)、ロット計算(LOT_Divided)といった破綻回避に直結する項目を中心に、最悪ケースの想定(急変動・一方向トレンド・スプレッド拡大)まで含めてチェックが必須です。また、複数通貨(または複数チャート)で回す場合は識別子やMagicの競合に注意、同一口座でのテストや運用の混在も避けるべき、という警告も出ています。
Forex Seeker|Trend Wave×RSIで反転を拾い、マーチン回収も想定した“多通貨”逆張りEA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:15
- 勝率:73.33%
- PF:2.20
- DD:56.62%

概要(このEAは何をする?)
Forex Seeker は、Trend Wave Indicator を使って「新しい波(トレンド波動)の始まり・終わり」を捉えつつ、オシレーターとして買われすぎ/売られすぎ(Overbought / Oversold)を判定し、短期の反転を狙う逆張りEAです。作者説明では「エントリーは多くないがスマートで低リスク」とされ、デフォルト設定はH1以上の時間足を推奨しています。一方、仕様としては M15 での運用が記載されており、対応通貨ペアも XAUUSD(GOLD)に加えて GBPUSD / AUDJPY / EURJPY / GBPJPY / USDCAD / EURUSD と幅広いのが特徴です。ただし、このEAは “全トレードを利益でクローズするためにマーチンゲールを使う” という思想が明確で、単なる逆張りロジックではなく 資金管理(ポジション追加・回収設計)まで含めて評価すべきタイプです。最低入金が $20000 または 20000 cent、レバレッジ1:500前提という点からも、一定の耐久力を想定した設計だと読み取れます。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
ロジックは「波動の転換」と「過熱感」の2段構えです。Trend Wave により波の切り替わりを捉え、RSI(RSI_Period)および動的RSI(Dynamic_RSI)で買われすぎ/売られすぎを判定して反転を拾う流れになります。Candle_ID はシグナル判定に使う足の指定(タイミングの基準)として働くと考えられ、エントリーの“ぶれ”を抑える用途が想定されます。決済側は TP を中心に、Nearby_TP_Multiply や Nearby_PIP といった「利確を段階的に調整する」系のパラメータが並び、トレーリング(Trailing_*)も搭載。さらに取引時間帯(Start/End)もあるため、スプレッドが荒れやすい時間帯を避けるなどの調整余地があります。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
総取引数15はサンプルとして少なく、勝率73.33%やPF2.20は“可能性は見えるが、再現性はまだ確定できない”段階です。ただ、ここで最も重要なのは DD56.62% という非常に大きいドローダウンです。PFが2.20と見栄えが良くても、DDがここまで深い場合は「勝つまでに大きく耐える局面がある」「含み損が膨らむ構造が起きやすい」ことを示唆します。特にマーチンゲール採用EAは、トレード回数が少ない期間でも一度の逆行でDDが大きく出ることがあり、まさに“回収できたからPFは良いが、途中の資金変動が激しい”という絵になりやすいです。つまりこのEAは、勝率やPFよりも先に DDの出方=破綻リスクを主軸に見るべき枠です。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
作者説明にある通り Martingale を前提としているため、逆行時にポジション(またはロット)を積み増して回収する挙動が想定されます。仕様でも「1通貨ペアあたり最大20ポジション」「最大保有10日」「平均保有3日」とあり、相場が一方向に伸びる局面では、含み損が長引きつつポジションが積み上がりやすい設計です。運用する場合は、MAX_Order(最大ポジ数)、Maximum_Drawdown(停止条件)、LOT_Divided(ロット計算)が安全性を左右するため、ここを中心に“最悪ケースでどこまで耐えるか”を先に決める必要があります。また複数通貨で回すなら、識別子・Magicの衝突回避(Magic Startの管理)は必須で、テストと運用を同一端末・同一口座で混在させない、という警告も守るべきポイントです。
Infinitely Just|正規分布からの“逸脱”を統計で検出し、反転確率に賭ける多通貨・多時間足EA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:345
- 勝率:68.99%
- PF:0.69
- DD:19.26%

概要(このEAは何をする?)
Infinitely Just は、いわゆる裁量の「行き過ぎ=逆張り」ではなく、価格変動を確率過程(ランダム)として扱い、統計的に“偏り(正規分布からの最大逸脱)”が出た地点を反転候補として検出するEAです。市場はランダムに見えても、実際は正規分布どおりに動かない局面がある、という前提に立ち、その“自然ではない歪み”が大きいポイントで仕掛けるという思想が特徴的です。
設定次第でほぼ任意の銘柄・時間足に適用できる設計で、H4(デフォルト)とH1が主対象。推奨通貨ペアの候補が非常に多く、さらに実運用では複数通貨を同時に動かす想定になっています(ストラテジーテスターの制約で単体検証が基本、リアル/デモでは複数同時稼働を想定)。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
ロジックの核は「一定期間のローソク足群の中で、分布の偏り(逸脱)が最大になる地点」を探し、そこを反転ポイント候補として売買判断する点です。パラメータ的には、各シンボルごとに
- 逸脱探索の対象レンジ(
MinBars/MaxBars/Step) - どの程度の逸脱で仕掛けるか(
OpenPerc) - どの程度戻ったらクローズするか(
ClosePerc) - ロット計算(
RiskPerc/Depo) - 利益で全決済する閾値(
CloseProfit) - 許容スプレッド(
Spred)
などを細かく持ち、**“逸脱→建てる→ある水準でまとめて閉じる”**という統計逆張りらしい設計が見えます。さらにMaxSeries(同時に扱う銘柄数)やMax_Orders(最大保有数)、MinEquity(強制停止ライン)/GlobalEquity(到達で全決済して再開)といった、複数ポジション・複数銘柄での運用を前提にした管理項目が豊富です。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
今回の結果は、総取引数345・勝率68.99%と、見た目だけなら悪くありません。ただし PF0.69 が示す通り、勝っている回数は多くても、損失側のインパクトが利益を上回っている状態です。逆張り系でよくある「小さく勝って、たまに大きく負ける(もしくは回収まで引っ張って損失が膨らむ)」形が疑われます。DD19.26%も無視できない深さで、複数銘柄同時運用を想定しているEAほど、相場の偏りが同時に起きる局面(リスクオフ/オンの相関上昇など)でドローダウンが増えやすい点には注意が必要です。
要するに、この検証値の読みとしては「勝率はそこそこ、でも損益構造が負けやすく、リスク管理が未調整の可能性が高い」という評価になります。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
Infinitely Just は“どの銘柄でも動く”という万能感がある一方で、実際は 銘柄ごとのボラ・スプレッド・トレンド癖で結果が大きく変わりやすいタイプです。作者自身も「定期的に設定調整・取引銘柄の変更を推奨」としており、放置で固定設定のまま回し続ける前提ではありません。運用面では MinEquity の強制停止、Max_Orders の上限、Spred 制限、各銘柄の RiskPerc の整合(同時運用時の合算リスク)を詰めないと、相関が揃った局面で想定以上のDDになり得ます。
また、EAは「確定足で判断」なのでテストは軽量な方式でも大差が出にくいとされていますが、だからこそ “設定の良し悪し”が成績の大半を決める側面が強い点も押さえておきたいところです。
Contrarian Forex Options MT4|逆張り×グリッド×ヘッジを統合し、AI風ロジックで分散運用をうたうEA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:305
- 勝率:73.77%
- PF:1.69
- DD:2.63%

概要(このEAは何をする?)
Contrarian Forex Options MT4(Robot CFO1.2EA)は、逆張り(Contrarian)を軸にしつつ、ヘッジ(Hedging)とグリッド(Grid)を組み合わせてポートフォリオ全体の安定化を狙う、というコンセプトのEAです。説明文は「AIアルゴリズム」「センチメント分析」「予測モデル」「ストレステスト」など、資産運用システムのような表現が多く、一般的なMT4 EAの紹介としてはかなり抽象度が高いのが特徴です。一方で、核となる発想は比較的明確で、「過熱(買われすぎ/売られすぎ)や市場の歪み=ミスプライスを検出して反転を狙う」逆張りを入口にし、相場が荒れても耐えるためにヘッジやグリッドで分散・回収を図る、という設計思想が読み取れます。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
このEAは、相場の“行き過ぎ”を捉えて仕掛ける逆張りアプローチを掲げています。説明では、センチメントやデータ分析でオーバーボート/オーバーソールド(買われすぎ・売られすぎ)を識別し、割高・割安の修正(リバーサル)を取りにいく流れです。ここに、リスク管理としてヘッジを組み込むとされ、相場が逆方向に進んだ場合の損失を緩和して資産を守る、という建て付けになっています。さらにグリッド手法も採用すると明記しており、価格帯や条件を“格子状”に分けてポジションを分散させ、局所的なタイミング依存を弱める狙いがうかがえます。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
総取引数305は十分なサンプル数で、EAの傾向を判断しやすい件数です。勝率73.77%は逆張り系として見栄えが良く、PF1.69も「損失1に対して利益が1.69」なので、単体成績としてはプラスの期待が持てる水準です。さらにDD2.63%はかなり低く、数字だけ見ると「勝率が高く、収益効率もあり、資金の凹みが小さい」という理想寄りの結果になっています。
ただ、逆張り・グリッド・ヘッジの組み合わせは、設定や相場条件によってDDの出方が大きく変わることがあります。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
このEAの注意点は、成績そのものよりも 説明文が抽象的で、実際の挙動が読み取りづらい点です。特に「AI」「予測モデル」「ストレステスト」などはマーケティング表現として使われがちで、何を根拠にエントリーし、どうポジションが増え、どの条件で損切り・利確・全決済するのかが見えないと、運用者側がリスクを管理しにくくなります。またグリッド要素がある場合、相場が一方向に伸びた局面でポジションが積み上がりやすい可能性があるため、最大ポジション数やロット増加ルール、損失制限(停止条件)が用意されているかは必ず確認したいポイントです。
Honmaka Robot|RSI逆張りを“即入りしない”反転確認型に改良した高勝率EA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:82
- 勝率:90.24%
- PF:6.12
- DD:0.46%

概要(このEAは何をする?)
Honmaka Robot は、逆張りの定番である RSI(買われすぎ/売られすぎ)を使いながら、ありがちな「閾値に触れた瞬間に飛び込む」エントリーを避けるように設計されたEAです。一般的なRSI逆張りは、売られすぎになった直後に買い、買われすぎになった直後に売るため、相場がそのまま伸びる局面では“早すぎる逆張り”になりがちです。このEAはそこを一段ひねっており、売られすぎ(または買われすぎ)になった後に少し待って、反転の兆し(戻り)を確認してから入ることで、無駄なエントリーを減らす思想になっています。コンセプトはシンプルですが、逆張りの弱点である「落ちるナイフを掴む」状況を軽減しようとしている点が特徴です。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
核はRSIのオーバーソールド/オーバーボート判定ですが、ポイントは“待つ”ことです。
- ただ売られすぎになっただけでは買わない
- いったん売られすぎになった後、価格が戻り始めるタイミングを見て買う
- 買われすぎも同様に、過熱後の戻り(反転)を見て売る
この「反転確認」を挟むことで、RSIが張り付いてしまう局面(トレンドが強く、過熱が解消されない局面)での早すぎる逆張りを避ける狙いがあります。利確はデフォルトで Take Profit を使用。さらに、同時保有は最大3注文までに制限されており、ポジションが増えすぎない設計が見えます。また、特徴的なのが損切り(クローズ)ルールで、固定SLではなく **“反対シグナルで閉じる”**方式です。たとえば買いで入った後に売り条件が成立したら、買いをクローズする(安全設定として調整可能)という設計で、相場の反転に合わせて撤退する思想です。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
総取引数82は、EAの傾向を見るには十分な件数です。勝率90.24%は非常に高く、逆張りの「勝ちを積み上げる」性格が強く出ています。PF6.12はかなり優秀で、単純な勝率の高さだけでなく、利益効率も高い結果です。さらにDD0.46%は極めて低く、今回の検証条件では資金曲線の凹みが小さい=安定感のある推移だったことを示します。
この数値セット(高勝率・高PF・低DD)は、一般に「利確が素直に入る」「含み損を引っ張りにくい」「ポジション管理が暴れない」EAで出やすい形です。特に同時保有が最大3に制限され、反対シグナルで逃げる設計が、DDを抑える方向に効いた可能性があります。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
Honmaka Robot は説明上、ナンピンやマーチンのような増し玉前提ではなく、最大3ポジまでという制限もあるため、構造的な破綻リスクは比較的読みやすい部類です。ただし、損切りが「反対シグナル」基準の場合、相場が上下に振れる局面ではシグナルが行ったり来たりして、細かい損切り・入り直しが増える可能性があります(いわゆる往復ビンタ)。また、TP中心の設計は勝率を上げやすい一方で、急変動時の滑りやスプレッド拡大で想定より不利約定になった場合、成績が崩れることもあります。
Stratos Zephyr|RSIベース“10戦略入り”で幅広く対応する多機能逆張りEA(M15/H1)
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:259
- 勝率:78.38%
- PF:3.44
- DD:9.12%

概要(このEAは何をする?)
Stratos Zephyr は、RSI(Relative Strength Index)を中核にした自動売買EAで、「10種類のRSI系ストラテジーを内蔵=1つで複数EA分」を売りにしている多機能タイプです。RSIの基本である買われすぎ/売られすぎだけでなく、ダイバージェンスや反転パターンなども含むとされ、裁量トレーダーの好みに合わせて“逆張りの入口”を選べる設計が特徴。推奨は EURUSD / NZDUSD / EURCHF / EURGBP / USDJPY、時間足は M15 と H1。2005年からの長期テストにも触れており、低スプレッド環境のブローカーが望ましいとされています。最低入金は100USD目安で、比較的始めやすい条件です。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
このEAの根拠は一貫してRSIです。ただし単純に「RSIが30以下で買い/70以上で売り」という一本槍ではなく、複数の“RSI系の入り方”を切り替え・併用できる構成(10戦略)をうたっています。言い換えると、同じ逆張りでも「過熱からの反転を狙う」「ダイバージェンスで反転兆候を拾う」「パターンで折り返しを判断する」といった“判断の型”を複数持ち、相場や好みに合わせて最適化しやすいタイプです。
また、単なるエントリーEAではなく「管理機能が多い」点も特徴で、動的ロット(口座残高とリスクに応じてロットを変える)、利益目標の調整、損失上限の保護(loss cap系)など、運用側が調整できる枠が多いことが分かります。さらに、同時に買いと売りを許可する設定(Concurrent Buying And Selling)や、最大同時注文数(Max Concurrent Orders)などもあり、ロジックの強さだけでなく“ポジションの作り方”まで広くカスタムできる設計です。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
総取引数259は十分な件数で、たまたまのブレだけで語りづらいレベルです。勝率78.38%は逆張り系として高水準で、PF3.44もかなり良好。利益効率が高く、損失に対して利益がしっかり上回っている形です。DD9.12%は“低DD”とまでは言い切らないものの、PF3.44とセットで見ると、リスクを抑えつつ収益性が出ている印象になります。
この組み合わせ(高勝率+高PF+DD一桁台)は、逆張りとしては優秀な部類で、「利確が素直に機能している」「大崩れする局面が限定的だった」可能性が高いです。特にRSIベースで、なおかつ管理機能が豊富なEAは、相場に合わせた調整がハマると成績が安定しやすい傾向があります。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
Stratos Zephyr は多機能である反面、**“設定次第で別物になりやすい”**タイプです。10戦略を内蔵しているということは、戦略選択や閾値、同時注文数、買い売り同時許可、動的ロットなどの組み合わせで挙動が大きく変わります。つまり、良い意味では最適化余地が大きい一方で、悪い意味では設定ミスでリスクが増えやすい。とくに動的ロット、最大同時注文数、買い売り同時(実質ヘッジ的な動きになり得る)あたりは、DDの増え方に直結します。
また、作者側が「レビューして連絡すると追加setファイルを渡す」としている点からも、デフォルトより“セットファイル運用”が前提になっている可能性があります。
Gloxen FX Gold EA|Trend Wave×RSIで反転を狙い、マーチン回収を前提にしたXAUUSD逆張りEA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:35
- 勝率:80.00%
- PF:0.90
- DD:93.94%

概要(このEAは何をする?)
Gloxen FX Gold EA は、XAUUSD(GOLD)専用として設計された逆張りEAで、波動の切り替わり(Trend Wave)とオシレーター(買われすぎ/売られすぎ)判定を組み合わせ、短期の反転を狙うコンセプトです。説明文の骨格は、同作者のVanda FXやForex Seekerと同系統で、「エントリーは多くないがスマート」「H1以上の時間足で精度が上がる」「損失側に振れたポジションはマーチンゲールで回収して、全体で利益クローズを狙う」という思想が一貫しています。推奨時間足はH1、レバレッジ1:500、最低入金は$20000(または20000 cent)と高めで、短期勝負というより“耐えられる資金余力を前提にした回収型”の運用設計が前提にあります。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
ロジックは「波動転換+過熱感」です。Trend Signal には EMA、ボリンジャーバンド(期間・偏差)、エンベロープ(期間・偏差)といった複数のトレンド/レンジ判定要素が並び、単純な1指標依存ではなく、何らかの条件の合成で“入りどころ”を絞る意図が見えます。Signal Order 側には RSI(Rsi_Period)と動的レンジ(Period_Dynamic_Range)があり、買われすぎ/売られすぎの「行き過ぎ」を逆張りの根拠として扱う構成です。決済は TP と周辺パラメータ(Nearby_TP_Multiply、Nearby_PIP、Nearby_Next_Multiply)で回収の仕方を調整し、トレーリング(Trailing_*)も搭載。さらに取引時間の管理(Start/End)もあり、時間帯フィルターで無駄打ちを減らす調整余地があります。
そして資金管理の中核に Martingale が明示されており、逆行時にロットやポジションを重ねて回収する前提のEAです。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
今回の結果は数字の組み合わせが非常に強烈です。総取引数35とサンプルは多くありませんが、勝率80%でも PF0.90(1未満) ということは、勝ち回数が多くても損失の総量が利益を上回っている、あるいは一部の大きな損失が全体を押し下げた可能性が高いです。さらに DD93.94% は、資金曲線が“ほぼ壊滅級”に落ち込んだ水準で、逆張りEAの中でもトップクラスにリスクが高い挙動が出たと判断せざるを得ません。マーチンゲール採用EAで起きやすいのが、勝率は維持しつつも、トレンドが長く続いた局面でポジションが積み上がり、含み損が一気に拡大してDDが深くなるケースです。今回の数値はまさにそれを疑う形で、「勝てる局面もあるが、負けるときの破壊力が極端に大きい」タイプとして扱うのが妥当です。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
仕様として最大ポジション数は1ペアあたり最大20、平均保有3日・最大10日とされ、逆行が続くとポジションが長く残りやすい設計です。ここにマーチンが組み合わさると、相場が一方向に走った局面で“回収まで耐える”という構造になり、証拠金が持たないと大きなロスカットリスクが現実化します。運用するとしても、MAX_Order(最大ポジ数)や Maximum_Drawdown(停止条件)、ロット計算(LOT_Divided)を強く縛って破綻確率を下げる必要がありますが、今回のDDを見る限り、少なくとも同条件のままではリスク許容がかなり難しい部類です。また、ゴールドは急変動やスプレッド拡大も起きやすいため、時間帯フィルターやスプレッド制限を含めた保守設定が必須になります。
Moving Along Gold EA|Trend Wave系の反転狙い+マーチン回収を前提にしたXAUUSD(M15)逆張りEA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:6
- 勝率:66.67%
- PF:0.53
- DD:94.02%

概要(このEAは何をする?)
Moving Along Gold EA は、XAUUSD(ゴールド)を対象に、Trend Wave Indicatorで“波の切り替わり”を捉え、オシレーター的な過熱感(買われすぎ/売られすぎ)から短期反転を狙う逆張りEA…という体裁ですが、運用の根幹は マーチンゲールでポジション全体を利益クローズする回収型の資金管理にあります。推奨はM15以上、レバレッジ1:500、最低入金は$20000(または20000 cent)とされ、少額で軽く回すというより“資金余力を前提に耐える”設計です。同作者のGloxen FX Gold EA等と説明文の骨格は近く、短期反転狙い+回収設計という流れが一貫しています。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
掲載されている設定項目を見る限り、Trend Signal側は EMA Period(移動平均の期間)を中心にしており、他の同系EAに比べるとフィルター要素はかなり少なめです。エントリー自体は「波動の転換+過熱感」をうたっていますが、具体的な指標条件の内訳は説明からは読み取りづらく、実態としては“シンプルな条件で反転を拾い、管理で回収する”タイプである可能性が高いです。
一方、資金管理の項目は充実していて、LOT_Divided(ロット計算)、TP とその周辺(Nearby_*)で回収幅を調整し、Martingale で逆行時のロット/ポジションを増やす前提。さらに MAX_Order(最大注文数)、Maximum_Drawdown(DD制限)、Trailing系(Trailing_Start/Step/Stop)など、**“入るより、どう回収してどう止めるか”**に重心がある構成です。最大同時ポジションは1ペアあたり最大20、平均保有3日・最大10日という仕様も、逆行が続いたときにポジションを抱えやすいことを示しています。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
今回の検証は、まず総取引数が6と極端に少なく、勝率66.67%やPF0.53は統計的に信頼できる段階ではありません。ただ、それ以上に無視できないのが DD94.02% です。これは資金曲線が壊滅に近いレベルまで落ち込んだことを意味し、サンプルが少なくても「一度の大逆行で致命的になり得る構造」を強く示唆します。PF0.53(1未満)も合わせて見ると、今回の条件ではトータルで損失側が大きく、回収が間に合わない局面が起きた可能性が高いです。逆張り+マーチンの典型的な事故パターン(ゴールドの強い一方向トレンドや急変動で、ポジションが積み上がり耐えられない)を疑うのが自然です。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
このEAは、説明とパラメータから マーチン回収を前提にした設計であることが明確です。よって評価の中心は勝率ではなく、逆行時に「どれだけポジションが増えるか」「最大何日耐える想定か」「DD制限で止まるのか」「ロット増加ルールがどれくらい強いか」です。今回DDが94%台まで伸びている以上、少なくとも同条件では“破綻リスクが非常に高い”と見なすべきで、運用するなら MAX_Order を大幅に絞る、ロットを極小にする、DD制限を厳格にするなど、根本的に保守化しない限り現実的ではありません。また、ゴールドは時間帯によってスプレッドやボラが跳ねやすく、M15はその影響を受けやすいので、時間帯フィルターやスプレッド制限の有無も重要になります。
Vino Free EA|カスタムオシレーター×ボラ判定で反転を狙う“グリッドEA”の無料版(EURUSD M15想定)
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:127
- 勝率:64.57%
- PF:0.73
- DD:0.81%

概要(このEAは何をする?)
Vino Free EA は、Vino EA の無料版で、フル版と違ってパラメータ変更ができず、ロットは0.01固定という制限があります。戦略としては、カスタムオシレーターと価格ボラティリティ分析で相場の反転を捉え、グリッド(複数注文を段階的に並べる)で回収を狙うタイプです。一般的な“逆張りグリッド”は、価格が逆行したら一定間隔で追加エントリーして平均建値を近づけ、戻りで利確する構造になりがちですが、このEAは説明上「ロット増加はストップロス到達後に行う」という点が特徴的です。さらに、ボラティリティに応じて自動計算されるストップロス(自動SL)を持つとされ、単に無限に耐えるグリッドではなく“どこかで切る”設計を含んでいるのがポイントです。推奨は EURUSD のM15で、フル版の最適化条件がそのまま無料版の前提になっています。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
ロジックの中心は「オシレーターで過熱や反転兆候を捉える」+「ボラティリティで状態を判断する」という逆張りの王道構成です。そこにグリッドを組み合わせることで、単発で外した場合でも価格の戻りで回収しやすいように設計されています。入力項目を見ると、Initial Lot、Lot Factor(2発目以降のロット係数)、Take Profit、Grid Stop Loss、Max Lot といったグリッド運用の基礎が揃っており、さらに Auto Trail(自動トレーリング)や Max Spread(スプレッド制限)も用意されています。
ただし無料版は「パラメータ変更不可・ロット0.01固定」という制限があるため、上記の入力項目はフル版の一般仕様として提示されている可能性があります。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
総取引数127は傾向を見るのに十分な件数で、勝率64.57%は“勝つことも多いが、圧倒的ではない”レベルです。注目点は PF0.73 が1未満であること。これはトータルでは損失が利益を上回った結果で、勝率だけではカバーできない負け方(1回の損失が大きい、もしくは損切りが刺さる局面が続く)があった可能性が高いです。一方でDD0.81%は非常に低く、今回のテスト条件では資金の凹みが小さかったことを示します。この「PFは悪いのにDDは小さい」という組み合わせは、ロットが小さく損益の振れが全体的に小さい、あるいは損失がじわじわ積み上がって最終的にマイナスになった、といったケースで起きがちです。無料版が0.01固定である点を踏まえると、DDが小さく出やすいのは自然で、評価としては“リスクが低そうに見えるが、収益性は弱い”という読みになります。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
Vino Free EA はグリッド要素があるため、相場が一方向に強く走る局面ではポジションが増えたり、想定より長く含み損を抱える可能性があります。加えて無料版はパラメータ変更ができないため、相場やブローカー条件に合わせて“自分で守りを固める調整”がしづらいのが最大の弱点です。特に、グリッドの間隔、最大ロット(またはロット増加の仕組み)、ストップロスの扱いが運用の安全性を決めますが、固定設定のままだと「合わない相場で逃げにくい」ことが起こり得ます。また、M15想定・EURUSD最適化という前提がある以上、別通貨や別時間足で回す場合は成績が崩れやすい点も比較記事では明示したいポイントです。
Vanexio|Trend Wave×RSIで反転を狙うが、マーチン前提で“事故ると致命傷”になりやすいXAUUSD逆張りEA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:7
- 勝率:28.57%
- PF:0.08
- DD:93.16%

概要(このEAは何をする?)
Vanexio は、XAUUSD(GOLD)を対象に、Trend Wave Indicator 系の波動転換シグナルと、オシレーターによる買われすぎ/売られすぎ判定を使って短期反転を狙う逆張りEAです。推奨はH1以上、最低入金は$20000(または20000 cent)、レバレッジ1:500とされており、設計思想としては「エントリー頻度は多くないがスマートなタイミングを狙う」一方、逆行した場合は マーチンゲールで回収して全体を利益クローズする回収型の資金管理が前提になっています。同作者のVanda FXやGloxen等と同系統で、ロジックの骨格はかなり近いタイプです。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
Trend Signal 側には、EMAを複数系統(EMA Signal / EMA_Swing / EMA_Trend)で持ち、短期の振れと大きな流れの両面から相場状態を判定する意図が見えます。加えてボリンジャーバンド(BB_Period / BB_Deviations)と Candle_ID があり、過熱や拡散、タイミングを絞り込む構成です。Signal Order 側では RSI(Rsi_Period)と動的RSI(Period_Dynamic_Rsi)が用意され、買われすぎ/売られすぎを逆張りの根拠として使います。
決済・管理は TP と Nearby_* で回収幅を調整し、トレーリング(Trailing_*)も搭載。稼働時間(Start/End)も制御可能です。そして資金管理の中心に Martingale が明示され、逆行時の積み増し(ポジション/ロット)によって回収を狙う構造になっています。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
今回の検証は総取引数7とサンプルが極端に少なく、統計的な安定性はありません。ただ、それを差し引いても数字が厳しすぎます。勝率28.57%、PF0.08はトータルで大きく負けている状態で、さらに DD93.16% は“資金がほぼ壊滅した”レベルです。
逆張りEA、特にマーチンゲール採用EAで起きがちなのは、相場が一方向に走った局面でポジションが積み上がり、回収できずに含み損が膨らみ続ける事故です。今回のDDの深さは、その事故パターンが発生した可能性を強く示唆します。PFがここまで崩れている以上、「一度の大逆行で取り返しのつかない損失を出し得る」挙動が出たと見てよく、少なくともこの検証条件では実運用向きとは言えません。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
仕様として最大ポジション数は1ペアあたり最大20、平均保有3日・最大10日とされ、逆行を長く抱える前提が見えます。ここにマーチンが入るため、相場環境次第では短期間でもDDが急拡大します。運用するなら、MAX_Order を強く絞る、ロットを極小にする、Maximum_Drawdown(停止条件)を厳格に設定するなど、根本的に保守化しない限り現実的ではありません。加えてXAUUSDはボラが大きく、急変動・スプレッド拡大・ギャップ的な動きも起きやすいので、時間帯フィルターやスプレッド制限が機能するかも重要になります。
Convergence Pro|複数時間足の“枯れ(exhaustion)”収束で反転を狙い、乗り増し+ヘッジで回収する常時稼働EA(EURUSD M30)
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:23
- 勝率:86.96%
- PF:0.10
- DD:93.49%

概要(このEAは何をする?)
Convergence Pro は、押し目・戻り(retraces)やその極限(retraces extremes)、そして反転(reversals)を狙ってエントリーする完全自動EAです。特徴は「複数の時間足でトレンドの“枯れ(exhaustion)”ポイントが収束する地点」を根拠に反転を取りにいく点で、説明文どおり“常に市場に張り付く(always trading)”設計です。推奨は EURUSD / M30、最低推奨資金は$3000、約定が速いECNブローカーやVPSの利用を推奨しています。
ただし、逆張りロジックの強さだけで勝負するのではなく、含み損が出たポジションに対して「安全なマルチプライヤー(Lot_Multiplier)」で修正エントリーを入れ、まとめて利益でクローズする“回収型”の側面が強いEAです。さらに、ドローダウンが深くなったときにヘッジ保護モードへ移行できる仕組みも用意されています。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
仕掛けのテーマは「反転」です。単純なオシレーター逆張りというより、複数時間足におけるトレンド疲弊(exhaustion)の一致=反転確率が高いゾーンを狙う、という考え方です。加えて、Minimum_Distance(前回のエントリーから最低何pips離れたら次を探すか)でエントリー間隔を制御し、短い値動きでの過剰エントリーを抑える意図が見えます。
決済は“バスケット(まとめ決済)”思想が強く、Max_Basket_Size、Basket_Profit_in_money、First_Trade_Profit など、「単発で閉じる」「複数ポジをまとめて閉じる」を金額ベースで管理する設計です。ここに Lot_Multiplier による修正エントリー(いわゆる乗り増し/回収)が組み合わさるため、勝率が高く見えやすい反面、相場が伸び続ける局面で含み損が積み上がりやすい構造でもあります。
さらに Hedge_Protection を有効にすると、一定DDを超えた場合(Drawdown_Max)にヘッジ保護モードへ入り、ヘッジ注文を使ってペアで回収(Hedge_Profit、Hedge_Basket_Size)する仕組みもあります。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
今回の検証は、勝率86.96%と一見かなり良い数字ですが、PF0.10とDD93.49%がそれを完全に打ち消しています。PF0.10は「利益より損失が圧倒的に大きい」状態で、DD93%台は資金が壊滅に近いレベルまで沈んだことを意味します。総取引数23は少なめではあるものの、このDDの深さは“たまたま”では済ませにくく、回収型(乗り増し+まとめ決済)EAで典型的な事故パターン――伸び続けるトレンドで反転せず、修正エントリーが積み上がって耐えきれない――が発生した可能性を強く示唆します。
つまりこのEAは「普段は勝てるが、相場環境が噛み合わないと一撃で致命傷を負う」タイプとして扱うのが妥当です。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
Convergence Pro は、説明上もパラメータ上も「回収の仕組み(Lot_Multiplier)」「まとめ決済(Basket)」「深いDD時のヘッジ保護」が前提です。これは裏を返すと、損失を小さく切って逃げるEAではなく、含み損を抱えながら反転を待って回収する構造になりやすい、ということです。運用するなら最低限、
Lot_Multiplier(修正エントリーの強さ)Max_Basket_Size(抱えるポジションの上限)Drawdown_MaxとHedge_Protection(ヘッジへ移る条件とON/OFF)
を中心に、最悪ケース(EURUSDが一方向に伸び続ける局面)で“どこで止まるか”を明確にした上で再検証が必要です。今回のDDが93%台まで出ている以上、少なくとも検証条件そのままでは実運用向きとは言えません。
Multi Indicator Reversal EA|RSI×ボリンジャー×ADXで“反転の兆候”まで確認して入る、多機能フィルター搭載の逆張りEA
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:50
- 勝率:26.00%
- PF:0.56
- DD:3.71%

概要(このEAは何をする?)
Multi Indicator Reversal EA(マルチ指標リバーサルEA)は、RSI・ボリンジャーバンド・ADXの3指標を組み合わせて反転(リバーサル)を狙う逆張りEAです。特徴は、単に「過熱だから逆張り」ではなく、**“行き過ぎ”+“バンド抜け”+“反転の兆候(価格とRSIの向き)”**まで揃えてから入る設計になっている点。さらに、ATRによるボラフィルター、スプレッドフィルター、出来高フィルター、時間フィルターなど、環境認識のオプションが豊富で、相場状況に合わせて“無駄打ちを減らす方向”に調整しやすい構成です。
ポジション管理も、単一ポジション運用だけでなくヘッジモードに対応し、部分決済やトレーリング、最大保有時間(初期8時間)まで用意。v2.04では「ポジションに寿命(時間制限)」という概念を実装した、と明記されており、逆張りEAにありがちな“含み損を長く抱える”状況を減らす意図が見えます。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
買いは大まかに以下の合成条件です。
- RSIが過売り(初期30)を下回る
- 前足終値がボリンジャーバンド下限を下回る(行き過ぎ)
- 現在価格が前足終値を上回る(戻り始め=反転兆候)
- RSIが前足から上昇(勢いの反転)
- ADXフィルターON時はADXが一定以上(トレンド強度の条件)
- パターン検出ON時はハンマー・包み線など反転形状も確認
売りも対称で、RSI過買い+上限抜け+価格が前足終値を下回る+RSI下降、必要に応じてADXと反転パターンを加える構成です。
つまりこのEAは、**「オシレーター逆張り」→「バンド抜け確認」→「反転し始めてから入る」**という三段構えで、“早すぎる逆張り”を避ける狙いがはっきりしています。
リスク管理・管理機能
- 固定ロット/残高比の動的サイジング
- TP/SL(初期30pips/30pips)
- 最大保有時間(初期8時間)=“寿命”で手仕舞い
- トレーリングストップ、部分決済
- ヘッジモード(口座がヘッジ対応である必要あり)
- フィルター群(ATR/スプレッド/出来高/時間帯)
逆張りEAは「入った後の管理」で成績が大きく変わるので、このあたりの用意が多いのは明確なプラス要素です。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
今回の検証では、総取引数50に対して勝率26%、PF0.56と結果は厳しめです。勝率が低いのは、固定SL/TPや保有時間制限の影響で“戻り切る前に切られる”局面が増えると起きやすく、特に逆張りは反転までの時間・距離が足りない相場では連敗しがちです。一方でDD3.71%は比較的浅く、大崩れはしていないが、じわじわ負けたような形が想定されます。
要するにこの結果は「ロジックが悪いと断定する材料」ではなく、フィルターや時間足・通貨、TP/SL、保有時間(寿命)の設定が、検証条件と噛み合っていない可能性が高いタイプの負け方です。多機能EAほど“デフォルトや未最適化”で成績が振れやすいので、評価としては“再調整前提の枠”になります。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
作者自身も注意書きで「強いトレンド相場では連続損失の可能性」を明記しています。逆張りの本質的な弱点なので、ここは検証記事でも筋として押さえるべきです。またヘッジモードは口座仕様に依存し、国内FXや一部環境では使えない/制限があることもあります。
FadeStormPro|急騰急落(Storm)を検出し“反転確認後にフェード”する低リスク逆張りEA(マーチン/グリッドなし)
検証結果(今回のバックテスト)
- 総取引数:267
- 勝率:55.81%
- PF:0.68
- DD:17.24%

概要(このEAは何をする?)
FadeStormPro は、急激でボラティリティの高い値動き(説明では “storm move”)が出た後に、反転(fade)を狙って逆方向に入る逆張りEAです。特徴として強調されているのが「マーチンゲールやグリッドは使わない」という点で、回収型ではなく、エントリー精度とTP/SL管理で勝負する設計をうたっています。対象はEURUSD・USDCADなど主要通貨が中心で、時間帯/曜日フィルター、最大同時ポジション、固定ロット/リスク比率サイジングなど、運用側が“取引を絞る”ための枠も豊富。加えて、部分利確やトレーリングなどの管理機能も備え、裁量で言う「取り切る・守る」をEA側で自動化するタイプです。
ただし作者自身が「新規開発の実験的EAで、まだライブ運用していない」と明記しているため、完成品というより“改善前提”の位置づけで理解するのが自然です。
エントリーロジック(逆張りの根拠)
ロジックは大きく2段階です。
- Storm検出(急変動の認定):
大陽線/大陰線や連続足などのプライスアクション、ATR急増やボリンジャーブレイクなどのボラ指標、RSI極端値・MACD・ダイバージェンスなどのモメンタム、出来高スパイクなど、複数モジュールから選んで強い動きを検出。 - 反転確認(フェードの根拠):
包み足・ピンバーなどの反転ローソク、ブレイク&リテスト、勢いの枯れ(exhaustion)を確認してから逆方向へエントリー。
この「急変動→反転確認→逆張り」という流れは、逆張りの弱点である“早すぎる逆張り”を減らす王道アプローチです。さらにTP/SLは固定だけでなくATRベース、スイングベース、フィボナッチベース等を選べるとされ、相場状況に合わせて利確損切りの“幅”を調整できる設計になっています。
検証数値の読み解き(4指標から見える性格)
総取引数267は十分な件数で、勝率55.81%は「優位性があればプラスになり得る」水準です。ただ今回の結果では PF0.68 が1未満で、トータル収支はマイナス側。DD17.24%も軽くはなく、負けるときの凹みがそれなりに出たことを示します。
この組み合わせから読み取れるのは、「当たりはあるが、損切りが大きい/多い」「反転確認が遅れて、損切り幅が先に取られる」「急変動後も伸びる局面でフェードが踏まれる」といった可能性です。つまり“ロジックの方向性”は筋が良くても、検証条件(通貨ペア・時間足・フィルター・TP/SL方式・確認数の閾値)が噛み合っていない状態だった可能性が高いです。
リスクと注意点(運用前に確認すべきこと)
- マーチン/グリッドなし=安全確定ではない:損切りが素直に機能する代わりに、フェードが連敗する局面では普通に負けが積み上がります。
- “storm”の定義次第で別物になる:ATR閾値、連続足条件、BBブレイク条件、出来高条件などの組み合わせで取引頻度と損益が大きく変わるタイプです。
- 作者がライブ未投入と明記:実運用の滑り・スプレッド拡大・指標時の約定などで成績が変わりやすいので、バックテスト良否とは別に“運用面の未知数”があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 無料の逆張りEAって、結局使っても大丈夫?
A. 使えるものもありますが、**“当たり外れが大きい”**のが現実です。まずはDDとPFで足切りし、デモ運用で挙動を確認してから小ロットで移行するのが安全です。
Q2. 勝率90%超なら優秀ですよね?
A. 逆張りEAは構造的に勝率が高く出やすいので、勝率だけでは判断できません。重要なのは「負け方」で、DDが深い・PFが低い場合は危険度が高いです。
Q3. PFはどのくらいあれば合格ライン?
A. まずはPFが1.0を超えていることが最低条件です。逆張りは負けが大きくなりやすいので、できればPFが高いほど安心ですが、取引数が少ないとPFはブレる点もセットで見ます。
Q4. DDは何%までなら許容できますか?
A. 一般論ですが、50%を超えると継続がかなり難しくなります。逆張りは急変時にDDが跳ねやすいので、DDが深いEAは「いつか事故る前提」で見た方が安全です。
Q5. 取引数が少ないEAは切るべき?
A. 切るというより**“判断保留”**が正解です。数回〜十数回程度だと、勝率やPFが偶然で良くも悪くも見えるので、期間・条件を変えて追加検証してから判断します。
Q6. バックテストで良いのに実運用でダメになるのはなぜ?
A. 主に スプレッド拡大・スリッページ・約定拒否・サーバー遅延 などの影響です。逆張りはエントリー位置がシビアなことが多く、わずかな差で結果が崩れやすいです。
Q7. “回収型(マーチン・グリッド・ヘッジ)”は全部NG?
A. 一概にNGではありませんが、リスクの性質が強烈です。最大ポジション数・ロット増加・損切り(または停止条件)が弱い回収型は、相場が戻らない局面で資金が一気に削られます。
Q8. 回収型かどうかは、どこを見れば分かる?
A. パラメータに LotMultiplier / Martingale / GridStep / MaxOrders / BasketClose などがあれば要注意です。また「全ポジションをまとめて決済」「戻り待ち」系の説明も回収型のサインです。
Q9. 同じEAでも通貨ペアや時間足で成績が変わるのは普通?
A. 普通です。逆張りは特に**相場のクセ(レンジ率、ギャップ、ボラ)**の影響を強く受けます。だから“EAごとの推奨条件”を無視して横並びに運用すると事故りやすいです。
Q10. 無料EAは設定変更なしで使うべき?最適化した方がいい?
A. 初期は設定変更なしで挙動確認がおすすめです。いきなり最適化すると、過去に合わせすぎて再現性が落ちることがあります。最適化するなら「期間を分ける」「フォワードで検証する」などが前提です。
Q11. 逆張りEAを動かすとき、最低限やるべき安全対策は?
A. 最低限この3つは強いです。
- 最大DD(または損失額)で停止する仕組みを用意する
- ロットを下げる(特に回収型は小さく)
- 重要指標前後や週明けのギャップなど“事故りやすい時間帯”を避ける
Q12. 検証記事の数値(勝率・PF・DD)はそのまま信用していい?
A. 信用はできますが、**「その条件下での結果」**に限ります。ブローカー、スプレッド、テスト期間、ヒストリーデータ、モデル精度が変わると結果は動くので、最終的には自分の環境で再検証が必須です。

まとめ|無料逆張りEAは“勝率”よりDDとPFでふるい分ければ失敗しにくい
逆張りEAは、バックテストで勝率が高く見えやすい一方で、トレンド相場や急変動で一撃崩壊するタイプも混ざります。だからこそ本記事では、DD → PF → 取引数 → 勝率の順で判断するルールに統一し、無料逆張りEA14本を同条件で比較しました。
今回の条件で「優位性が見えた」のは、以下の4本です。
- Honmaka Robot(PF6.12 / DD0.46%)
- EA Gap Catcher(PF2.02 / DD0.14%)
- Stratos Zephyr(PF3.44 / DD9.12%)
- Contrarian Forex Options MT4(PF1.69 / DD2.63%)
一方で、勝率が高く見えても DDが50%超〜90%台まで伸びたEAは、回収型(マーチン・グリッド・ヘッジ)の影響も含めて、運用難度が一気に跳ね上がります。特に無料EAは、説明が強気でも停止条件が弱いことがあるため、数字の見た目だけで判断するのは危険です。
最後に、無料逆張りEAを触るなら最低限この流れがおすすめです。
- DDが深いEAを先に落とす(まず事故回避)
- PFが1.0以上だけ残す(負け構造を排除)
- 取引数が少ないものは判断保留(追加検証へ)
- デモ→小ロットで挙動確認(スプレッド拡大・滑り耐性を見る)
本記事の結果は、あくまで検証条件下の比較です。運用する場合は、必ず段階的に検証し、資金管理と停止ルールを先に決めたうえで取り組んでください。
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