【検証】プライスアクションEA無料4選をバックテスト比較|PF・DD・勝率で評価(MT4)

プライスアクションEA無料4選をバックテスト比較
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プライスアクションをエントリートリガーにした無料EA4つを、バックテスト結果にもとづいて比較検証しました。ローソク足パターン(包み足・ハンマーなど)を根拠に売買するEAは、ロジックが理解しやすい反面、相場環境によって成績が大きく変わることもあります。

本記事では、まず比較表と結論で「安定型・回数重視・今回は伸びなかったEA」を整理し、そのうえで各EAについて、どんなプライスアクションで入るのか/決済やリスク管理の特徴/向いている相場・注意点を1本ずつ分かりやすく解説します。

「無料EAでも使えるものはあるのか?」を判断する材料として、気になるEAからチェックしてみてください。

目次

今回検証した「プライスアクションEA」無料4本一覧(MT4)

今回の検証では、エントリーの根拠が「ローソク足の形(プライスアクション)」にある無料EAを4本ピックアップし、バックテスト結果とロジックの特徴を整理しました。
プライスアクション系EAは、インジケーターよりも**ローソク足パターン(反転・包み足・ハンマーなど)**を重視するため、EAの狙いどころが比較的わかりやすい一方で、相場環境によって成績が振れやすい傾向があります。そこで本記事では、まず「どんな値動きを狙うEAなのか」を明確にしたうえで、結果を比較していきます。

今回検証したEAは以下の4本です。

  • Candle Scalper EA:プライスアクションをベースに、逆行時はアベレージング(平均化)で回収を狙うスキャルピング型
  • Hammer Master MT4:ハンマー足+ピンバー+確認足で反転を狙うパターン認識型(トレンド判定・時間制限も設定可能)
  • Price Action Start 5:包み足(吸収)パターンを狙うシンプルなプライスアクションEA(作者推奨はD1)
  • Profit30 Lite Free:複数の“プライスアクション系”システムを内蔵した複合型(無料版はSellのみ)

このあと、まずは4本のバックテスト結果を比較表でまとめ、次に各EAの詳細(エントリートリガー・決済・向き不向き)を個別にレビューしていきます。

結論|プライスアクション無料EA4本を検証して分かったこと

4本を比較した結論を先にまとめると、「無料でも数字が出るEAはあるが、“勝ち方のタイプ”がまったく違う」です。特に今回は、プライスアクション系といっても 反転パターンで少数回を狙うEA と、取引回数で積み上げるEA が混在しており、同じ評価軸で見ても性格が分かれました。

  • 回数が多く、結果も出ていたのは「Candle Scalper EA」
    取引回数が多く(2983回)、PFも1.55とプラス傾向でした。反面、このEAは逆行時に平均化(Averaging)で回収を狙える設計のため、成績だけでなく「リスクの質(急変動への弱さ)」も合わせて見る必要があります。
  • DDが小さく、安定寄りだったのは「Hammer Master MT4」
    DDが3.64%と小さめで、PFも1.49とプラス傾向。勝率は高くありませんが、当たったときに大きく取るタイプの可能性があり、守り重視の比較では目立つ結果でした。なお、入力項目にマーチン係数があるため、設定次第でリスク特性が変わる点は注意です。
  • 今回条件では伸びなかったのは「Price Action Start 5」「Profit30 Lite Free」
    どちらもPFが1未満(0.98 / 0.84)で、今回の条件では期待値がマイナス寄りでした。さらに取引回数が少なめ(46回 / 48回)なので、相場局面の当たり外れで結果がブレやすい点も踏まえ、記事内では“見送り”寄りの扱いが安全です。

このあとに比較表で全体像を示し、各EAの詳細レビューでは「どんなローソク足パターンを狙い、どう決済して、どんな相場で崩れやすいか」まで具体的に落とし込みます。

バックテスト結果(比較表)|PF・DD・勝率・取引回数を横並びで確認

まずは4本の成績を、主要指標で横並びにしました。プライスアクションEAはロジックがシンプルに見えても、取引頻度・勝ち方(損小利大か、勝率型か)・リスク管理の設計によって結果の見え方が変わります。
そのため、ここでは「PF(期待値)」「最大DD(リスク)」「勝率(当たりやすさ)」「取引回数(評価の安定度)」の4点を中心に比較します。

EA名総取引数勝率PF最大DD
Candle Scalper EA298367.21%1.5511.12%
Hammer Master MT421033.33%1.493.64%
Price Action Start 54650.00%0.9810.12%
Profit30 Lite Free4839.58%0.8411.69%

比較のポイント

  • PFが1.0以上:バックテスト上は期待値プラス傾向(ただし過剰最適化や相場の偏りには注意)
  • 最大DD:運用の“痛さ”を表す指標。DDが小さくても取引回数が少ない場合は判断が早計になりやすいです
  • 取引回数:少なすぎると評価がブレます。逆に多いと「その条件での傾向」は掴みやすくなります
  • 勝率:高い=安全とは限りません。損益比(平均利益と平均損失)の設計次第でPFは変わります

この表で全体像を掴んだ上で、次のパートでは各EAを1本ずつ、**狙っているプライスアクション(パターン)**と、決済・リスク管理の設計まで含めて詳しく見ていきます。

各EAの詳細レビュー(エントリートリガー/決済/向き不向き)

ここからは、4本のEAを1つずつ掘り下げます。比較表だけでは「数字の良し悪し」しか分からないため、どんなプライスアクションで入るのか(=エントリートリガー)、そして**どう負けを抑え、どう勝ちを伸ばす設計なのか(=決済・管理ロジック)**まで整理します。
同じ“プライスアクションEA”でも、狙いどころが違えば向いている相場も変わるので、結果とセットで確認していきましょう。

Price Action Start 5|包み足(エンゴルフィング)で反転を狙うプライスアクションEA

概要(このEAは何をする?)

Price Action Start 5 は、プライスアクションで有名な**「ローソク足の吸収(=包み足 / Engulfing)」パターン**を検出し、反転局面を狙って売買するEAです。
インジケーター依存を抑え、ローソク足の形そのものをエントリートリガーにしている点が特徴です。

エントリートリガー(プライスアクション条件)

  • 包み足(吸収)パターンを検出してエントリー
    • 一般的には「直前の足を包み込む形」になったときに、反転の可能性を根拠として取引します

決済ロジック(利確・損切り)

  • Take Profit / Stop Loss をパラメータで設定(固定式)
  • そのほか Lot / Magic / 最大許容スプレッド を設定可能
    ※時間決済・トレーリング等の記載はなく、基本はTP/SLベースの設計と考えられます。

推奨設定(作者コメント要約)

推奨時間足:D1(日足)
「モデル(条件)は少ないほど良い=エントリーを厳選した方が精度が上がる」趣旨の説明があり、マルチタイムフレームの組み合わせ(例:D1-H1、M5-H1 など)も示唆されています。

バックテスト結果(今回の検証)

  • 総取引数:46
  • 勝率:50.00%
  • PF:0.98
  • 最大DD:10.12%
Price Action Start

短評:PFが1.0未満(0.98)のため、今回条件では期待値がプラスになっていない結果です。D1推奨EAは取引回数が伸びにくく、46回は評価がブレやすい点には注意が必要です。

向いている相場 / 向かない相場

  • 向いている:反転がきれいに出やすい局面(大きめの波の終盤など)
  • 向かない:レンジで細かく上下する局面(包み足がダマシになりやすい)

注意点(実運用・検証の見落とし防止)

  • 包み足系は、**急変動・指標・約定(スリッページ)**の影響を受けやすい場合があります
  • 今回は**固定スプレッド(0.2pips)**のため、実運用の変動スプレッド環境では結果が変わる可能性があります
  • バックテストは過去データでの検証であり、将来の利益を保証しません

Candle Scalper EA|プライスアクション+アベレージング(平均化)で損失回収を狙うスキャルピングEA(EURUSD M5推奨)

概要(このEAは何をする?)

Candle Scalper EA は、プライスアクションをベースに成行でエントリーし、含み損になったポジションをアベレージング(平均化)で回収してプラス転換を狙うタイプの自動売買EAです。作者も「最適化が必要」と明言しており、初期設定はEURUSDのM5向けになっています。
※“プライスアクションEA”ではあるものの、入力項目からはRSI/MAなどのフィルター要素も読み取れます(純ローソク足だけではない設計)。

エントリーの特徴(トリガー/フィルター)

  • **成行注文(Market orders)**でエントリー
  • エントリー条件として RSI(RSIPeriod / RSIThreshold)、および MA(MAPeriod) を利用可能
  • **MaxSpread(最大スプレッド)**で取引可否を制御(作者は「スプレッドに敏感ではない」と説明)

ポジション管理・決済ロジック(このEAの肝)

  • 常にストップロスを置く設計(Always a stop loss in place)
  • **アベレージング(Averaging)**をONにすると、逆行が一定pips進んだら追加ポジションで平均化して回収を狙う
    • AveragingStep:追加のトリガー幅
    • AveragingMultiplier:ロット倍率
    • AveragingIgnoreEntrySignal:平均化がエントリーシグナルを無視する設定も可
  • ポジション数に応じて利確幅を調整する TakeProfitStaging も搭載(回収を早める方向の制御が可能)

推奨設定・運用条件(作者コメント要約)

  • 推奨:EURUSD / M5
  • VPS推奨
  • ヘッジ口座専用(Hedge accounts only)
  • 「無料配布・サポート限定」「使うなら最適化してね」と明記

バックテスト結果(今回の検証)

  • 総取引数:2983
  • 勝率:67.21%
  • PF:1.55
  • 最大DD:11.12%
Candle Scalper EA

短評:取引数が多く(2983回)、PFも1.55とプラス傾向。一方でこのEAは平均化(アベレージング)を使える設計なので、相場急変・トレンドが強く伸びる局面ではリスクが増えやすい点に注意が必要です。

向いている相場 / 向かない相場(傾向)

  • 向いている:小刻みに戻りが入る相場(回収が機能しやすい)
  • 向かない:一方向に強く伸び続ける相場(平均化が重なりやすい)

Profit30 Lite Free|「7種のプライスアクション系」を組み合わせたEURUSD専用EA(無料版は売りのみ)

概要(このEAは何をする?)

Profit30 Lite Free は、EURUSDを対象に**「7つの“price action style”システム」を組み合わせて取引するEAです。M5〜H1の複数時間足に対応しつつ、作者はH1が最適化により最も良いパフォーマンスになりやすい**としています。
なお、無料版はSell(売り)注文のみで、Buy(買い)も含むフル版は別提供です。

エントリーの特徴(トリガー/設計思想)

  • プライスアクション“風”の複数システム(7種)を内蔵して切り替え/組み合わせる設計
  • 対象通貨は EURUSD前提(約定条件・スプレッド・スリッページ面で有利という説明)
  • バーの開始時に1回だけ処理する軽量設計(高頻度計算ではない)

ポジション管理・リスク系の明記(重要)

  • 作者は明確に 「マーチンゲール/グリッド/ヘッジは使わない」と説明

推奨設定・運用条件(作者コメント要約)

  • 推奨通貨:EURUSD
  • 対応時間足:M5 / M15 / M30 / H1(最適化はH1が良い傾向)
  • 24/7稼働可能・初心者向け・監視不要をうたう
  • 実運用前に バックテスト→デモ→リアルの順で試すよう推奨

バックテスト結果(今回の検証)

  • 総取引数:48
  • 勝率:39.58%
  • PF:0.84
  • 最大DD:11.69%
Profit30 Lite Free

短評:今回条件では PFが1未満(0.84)のため、結果は期待値マイナス寄りです。取引数も48回と少なめなので、特にH1最適化前提のEAとしては、期間・相場の偏りで評価がブレやすい点に注意が必要です。

向いている相場 / 向かない相場(傾向)

  • 向いている:売り優位になりやすい局面(下降トレンドや戻り売りが機能する相場)
  • 向かない:上昇が強い局面(無料版がSellのみのため不利になりやすい)

注意点(無料版特有)

  • Sellのみなので、相場が上方向に偏る期間では成績が悪化しやすい
  • 作者が「最適化で性能が出やすい」としているため、デフォルト固定での評価は過小評価になる可能性もある一方、最適化は過剰最適化リスクもあります。

Hammer Master MT4|ハンマー+ピンバー+確認足で反転を狙うプライスアクションEA(マーチン係数あり)

概要(このEAは何をする?)

Hammer Master MT4 は、ローソク足の**ハンマーパターン(強気/弱気)**を検出し、反転の可能性が高い局面でエントリーするプライスアクションEAです。
さらに、**ピンバー(長いヒゲ)キー・バー(確認足)**の要素も使って「ハンマーが本物か」を確認し、確認後にロング/ショートを行う設計になっています。

エントリートリガー(プライスアクション条件)

  • ハンマー足の検出
    • 強気ハンマー:上昇反転を示唆
    • 弱気ハンマー:下落反転を示唆
  • ピンバー/確認足(Key Bar)でフィルターして、条件が揃ったらエントリー
  • ハンマー検出用の時間足は H1がデフォルト(TimeFrame)

トレンド判定(フィルター)

  • 別時間足でトレンドを判定する機能あり
    • Trend TimeFrame(デフォルト:M1)
    • 直近何本でトレンドを見るか(Number of Candles for Trend)
      ※反転系は“逆張り”になりやすいので、トレンド判定が実質的な安全装置になります。

決済ロジック(利確・損切り・リスク)

  • ストップロス:ハンマーの高値/安値基準で距離を決める設計
  • **リスクリワード比(RPR / Risk per Reward)**で利確幅を設計
  • **初期リスク(RISK / Initial Risk)**でロットを調整
  • **MartingaleCoefficient(マーチン係数)**あり
    → 損切り後にロット倍率をかけられるため、設定次第ではリスクが上がる可能性があります。

稼働時間フィルター(時間・曜日)

  • StartHour / EndHour、曜日設定で取引時間帯を限定可能
    → 指標や流動性が低い時間を避ける運用に寄せられます。

バックテスト結果(今回の検証)

  • 総取引数:210
  • 勝率:33.33%
  • PF:1.49
  • 最大DD:3.64%
Hammer Master MT4

短評:勝率は低め(33%)ですが、PFが1.49なので、**損小利大寄り(当たれば大きく取る)の設計で成績が出ている可能性が高いです。DDが3.64%**と小さめなのも、この検証条件ではかなり良い特徴です。
一方でマーチン係数の存在により、「設定次第で別物になる」EAです。

向いている相場 / 向かない相場(傾向)

  • 向いている:反転が出やすい局面(行き過ぎ後の戻しが入りやすい相場)
  • 向かない:強トレンドが伸び続ける局面(反転狙いが踏まれやすい)
    ※トレンドフィルターと稼働時間制限の使い方が成績を左右しやすいタイプです。

注意点

  • マーチン係数あり:ON/係数次第でリスク特性が大きく変化
  • ハンマー検出(H1)+トレンド判定(M1)など、時間足の組み合わせの意味が重要
  • 反転系は相場環境で成績がブレやすいので、運用前にデモ検証推奨

バックテスト条件(共通)

検証環境

  • 期間:2023/01/01 ~ 2024/01/01
  • 業者:TITANFX
  • モデル:全ティック(可能な限り精密)
  • 初期資金:1,000,000円
  • スプレッド:0.2 pips(2ポイント)※固定

EAごとの適用ルール

  • 通貨ペア:各EAの推奨通貨ペア(推奨がない場合は EURUSD
  • ロット:デフォルト値
  • EA設定:デフォルト値(最適化なし)

注意事項

  • 本記事のバックテスト結果は、特定条件下での過去データ検証です。将来の利益を保証するものではありません。
  • スプレッドを固定(0.2pips)にしているため、実運用の変動スプレッド・スリッページ・約定拒否などの影響は反映されません。
  • EA推奨がない場合はEURUSDで統一していますが、EAによっては推奨通貨・推奨時間足以外で性能が変わる可能性があります。

プライスアクションとは?|ローソク足の形と位置関係で“価格の意図”を読む手法

プライスアクション(Price Action)とは、移動平均やオシレーターなどのインジケーターよりも、ローソク足そのものの形(実体・ヒゲ)と、直前までの値動きとの位置関係から売買の根拠を作る考え方です。
言い換えると「価格がどこで止まり、どこで反転し、どこで勢いが加速したのか」を、ローソク足の情報だけで読み解くトレード手法になります。

EA(自動売買)でプライスアクションを使う場合は、裁量トレードで行う“感覚”を、ルール化できる部分だけ抽出して条件に落とし込むのが一般的です。たとえば「この形の足が出たら反転の可能性が高い」「このパターンのあとに確認足が出たらエントリーする」といった形で、機械的に判定できる条件に変換されます。

プライスアクションでよく使われる代表パターン

プライスアクションEAで採用されやすいのは、次のような“ローソク足の形”や“足同士の関係”です。

  • ハンマー(Hammer):下ヒゲが長く、下落が否定されて反転しやすい形
  • ピンバー(Pin Bar):長いヒゲで一方向の勢いが否定された形(反転・だましの判定に使われやすい)
  • 包み足(Engulfing):直前のローソク足を包み込む形で、流れの転換を示唆しやすい
  • インサイドバー:値幅が縮小し、次のブレイクで動きやすい状態
  • ブレイク&リテスト:抜けたラインに戻ってから再び進む動き(押し目・戻りの考え方)

今回検証したEAでいえば、Hammer Master MT4 はハンマー+確認要素、**Price Action Start 5 は包み足(吸収)**をトリガーにするなど、同じプライスアクションでも狙う形はさまざまです。

「プライスアクションEA」といっても中身は2タイプある

プライスアクションを使うEAは、大きく分けると次の2タイプに分かれます。

  • パターン認識型(反転狙い)
    例:ハンマー、包み足、ピンバーなどで反転を狙う。勝率は高くなくても、当たったときに大きく取る設計になりやすい。
  • 裁量の補助型(フィルター併用)
    例:プライスアクションを入口にしつつ、RSI/MAや時間帯、スプレッド条件などで取引を絞る。EAによっては平均化や段階利確など“管理ロジック”が主役になることもあります。

つまり「プライスアクションEA」というラベルだけでは、勝ち方(勝率型か、損小利大型か、回収型か)やリスク特性は判断できません。この記事では、バックテスト結果とロジックをセットで見て、どのタイプに近いEAなのかを整理していきます。

プライスアクションEAのメリット・デメリット

プライスアクションEAは「ローソク足の形と位置関係」を根拠にエントリーするため、ロジックが分かりやすく、裁量トレードの考え方とも相性が良いのが魅力です。一方で、相場の局面による当たり外れが大きく、短期足ではノイズにも巻き込まれやすいという弱点もあります。ここでは、運用前に知っておきたいメリット・デメリットを整理します。

メリット

1)ロジックが理解しやすく、検証・改善がしやすい
プライスアクションは「この形が出たら反転しやすい」「包み足で流れが変わりやすい」といった、根拠がローソク足に集約されます。EAでも条件が比較的シンプルになりやすく、何をしているかを把握しやすいのが強みです。

2)インジケーターの“遅れ”を減らしやすい
移動平均などのインジケーターは計算上、どうしても反応が遅れることがあります。プライスアクションEAはローソク足の情報そのものを使うため、設計次第では遅れを小さくしやすい傾向があります。

3)時間足や相場認識(トレンド/レンジ)と組み合わせやすい
プライスアクションは「どこで反転しそうか」「どこを抜けたら勢いが出そうか」という相場認識とセットで活きます。EA側にトレンド判定や時間帯フィルターがある場合は、無駄なエントリーを減らしやすくなります。

デメリット

1)相場環境の影響を強く受ける(レンジ・トレンドで成績が変わりやすい)
反転パターンを狙うEAは、トレンドが強く続くと踏まれやすく、逆にレンジではダマシに遭いやすいなど、局面で一気に成績が変わることがあります。「いつでも同じように勝てる」タイプになりにくい点は理解が必要です。

2)短期足ほどノイズ・スプレッド・約定の影響が大きい
M1〜M5など短期足のプライスアクションは、ローソク足の形が頻繁に変わる分、ノイズも増えます。さらに実運用では、変動スプレッドやスリッページの影響も重なり、バックテストとズレが出やすくなります。

3)“プライスアクションEA”でも中身がバラバラで、ラベルだけでは判断できない
同じプライスアクションでも、

  • 反転パターン狙い(ハンマー・包み足)
  • フィルター併用(RSI/MA・時間帯・スプレッド制限)
  • 逆行時の回収ロジック(平均化など)
    のように設計が大きく異なります。結果が良く見えても「リスクの取り方」が違う場合があるため、比較ではロジックも必ず確認する必要があります。

失敗しない選び方|プライスアクションEAを選ぶ5つの基準(4本検証から)

プライスアクションEAは「ローソク足で入る」という点は共通でも、勝ち方とリスクの取り方が別物になりがちです。そこでここでは、今回の4本比較で特に差が出たポイントを踏まえて、選ぶときに外せない基準を5つにまとめます。

1)まずPFだけで決めない(DDとセットで見る)

PFが高くても、最大DDが大きいなら運用中に耐えられなくなることがあります。
逆にDDが小さくても、取引回数が少ない場合は「たまたま相場が合っただけ」の可能性もあるため、PF×DD×取引回数をセットで判断するのが基本です。

2)取引回数が少ないEAは“保留”が安全

今回の比較でも、取引回数が少ないEAは結果がブレやすく、良くても悪くても結論を出しにくい傾向が見えました。
目安として、数十回しか取引していない結果は参考程度にとどめ、別期間や別相場(年をずらす等)での再テストや、デモ運用での確認を挟むのが安全です。

3)「反転狙い」か「回数で積む」か、タイプを先に決める

プライスアクションEAは大きく分けると次の2タイプになりやすいです。

  • 反転パターン型(勝率は低めでも損小利大)
    ハンマー・包み足など。トレンド継続で踏まれやすいので、フィルター(トレンド判定・時間帯制限)があるかが重要。
  • 回数・回収型(取引回数が多く、管理ロジックが主役)
    逆行時の回収(平均化など)を使う設計が多く、急変動や一方向トレンドに弱くなりがち。

自分が求めるのが「低DDで長く回す」なのか、「勝率・回数で積む」なのかを決めると、ミスマッチが減ります。

4)無料EAほど“設定前提”を疑う(売り専用・最適化前提に注意)

無料版には制限があることが多く、今回のように売りのみや、作者が「最適化が必要」と明記しているケースもあります。
この場合、デフォルト設定のまま評価すると過小評価になる可能性はある一方、最適化は過剰最適化になりやすいので、記事では次の方針が無難です。

  • デフォルト結果=基準として掲載
  • 最適化が必要なEAは「その前提」を明記し、読者に誤解が出ないようにする

5)実運用を想定して「スプレッド・約定・稼働環境」まで見る

プライスアクションEAは、特に短期足だとスプレッドやスリッページの影響を受けやすくなります。
また、EAによっては稼働時間帯の制限スプレッド上限の設定が重要で、ここを詰めないとバックテストとの差が出やすいです。最低限、次の項目は確認しておくのがおすすめです。

  • MaxSpread(最大許容スプレッド)の有無
  • 取引時間帯の制限ができるか(指標・薄商いを避けられるか)
  • VPS推奨か(約定の安定性)
  • “回収ロジック(平均化/ロット倍率)”がある場合、想定外の急変動に耐えられるか

よくある質問(FAQ)|プライスアクションEAの疑問をまとめて解決

Q1. プライスアクションEAはインジケーター不要ですか?
A. 必ずしも不要ではありません。プライスアクションを“入口”にしつつ、RSI・MA・時間帯・スプレッド制限などのフィルターを併用するEAも多いです。インジを使う=悪いではなく、ムダなエントリーを減らす目的で入っている場合もあります。

Q2. バックテストが良いEAなら、本番でも同じように勝てますか?
A. 同じにはなりません。バックテストは過去データ検証で、実運用では変動スプレッド・スリッページ・約定品質・相場の癖などが加わります。特に短期足や、回収ロジック(平均化など)を使うEAほど差が出やすいので、まずデモ→少額で挙動確認するのが安全です。

Q3. どの時間足が初心者に向いていますか?
A. 一般的には、短期足(M1〜M5)よりH1以上の方がノイズが少なく、プライスアクションの形が崩れにくい傾向があります。短期足は取引機会が多い反面、スプレッド・約定の影響が大きくなるため、最初は推奨時間足に合わせて試すのがおすすめです。

Q4. 通貨ペアは何を選べばいいですか?
A. 基本はEAの推奨通貨ペアを優先してください。推奨がない場合は、スプレッドが安定しやすいメジャー通貨(例:EURUSD)が無難です。EAは“設計時に想定した値動き”があるので、通貨ペアを変えると成績が大きく変わることがあります。

Q5. 勝率が高いEAの方が安全ですか?
A. 一概に安全とは言えません。勝率が高くても、1回の負けが大きい設計だと最大DDが深くなることがあります。逆に勝率が低めでも、損小利大でPFが高いEAもあります。判断は勝率ではなく、PFとDD、そして取引回数をセットで見るのが基本です。

Q6. 「平均化(アベレージング)」があるEAは危険ですか?
A. “危険”と断定はできませんが、注意は必要です。平均化は逆行したポジションを回収しやすい一方で、相場が一方向に強く伸びる局面では含み損とポジション数が膨らみやすい特徴があります。使うなら、最大DD・想定ロット・急変動時の耐性を意識して運用すべきです。

Q7. 無料EAは最適化(Optimization)した方がいいですか?
A. “ケースバイケース”です。最適化で成績が上がることもありますが、やりすぎると過去相場に合わせすぎて過剰最適化になりやすいです。まずはデフォルトで挙動を理解し、必要なら一部パラメータだけ現実的な範囲で調整するのが無難です。

Q8. まず最低限、どんな設定を確認すればいいですか?
A. 失敗を減らすために、最低限ここだけは見ておくのがおすすめです。

  • **MaxSpread(最大許容スプレッド)**の有無と値
  • 取引時間帯の制限(指標・薄商いを避けられるか)
  • ロット計算(固定 or リスク%)
  • 損切りの置き方(SL固定/構造ベース/追従あり)
  • 回収ロジックがある場合は、追加条件・倍率・最大ポジションの考え方

まとめ|無料のプライスアクションEA4本は「勝ち方のタイプ」で選ぶのが正解

今回検証した無料EA4本は、同じ「プライスアクション」をうたっていても、実際には**狙いどころ(反転パターン/短期スキャル/回収ロジック)**が大きく異なりました。だからこそ、単純に「勝率が高い」「PFが高い」だけで決めるのではなく、自分が許容できるリスクと、EAの勝ち方が一致しているかで選ぶのが重要です。

今回の結果を要点だけまとめると、次の通りです。

  • Candle Scalper EA:取引回数が多く、結果も出ていた一方で、平均化(回収ロジック)を使える設計。相場急変や一方向トレンドへの注意は必須。
  • Hammer Master MT4:DDが小さくPFも良好で、守り重視の比較では優秀。ただしマーチン係数があるため、設定次第でリスク特性が変わる点は要注意。
  • Price Action Start 5 / Profit30 Lite Free:今回条件ではPFが1未満で伸びず。取引回数も少なめで、評価がブレやすいタイプ。

まずは比較表で全体像を把握し、気になるEAはデモ口座で挙動とリスクの出方を確認してから、本番(少額)へ移行するのがおすすめです。無料EAは試しやすい反面、設定や相場環境で結果が変わりやすいので、焦らず「理解してから使う」を徹底していきましょう。

多くのトレーダーが求めているのは、信頼できて無料で使えるEAです。
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