TEMA(Triple Exponential Moving Average)は、価格のノイズを抑えつつ、トレンドの変化をより敏感にとらえるために設計された高機能な移動平均インジケーターです。
MT4でTEMAを使えば、通常のEMAよりも滑らかで反応の早いラインをチャート上に表示でき、トレンド判断やエントリーの補助ツールとして活用できます。

この記事では、TEMAインジケーターの基本構造や計算方法から、使い方、MT4への導入手順、さらにはソースコードの解説まで詳しくご紹介します。
初心者の方でも無理なく使えるよう、図解や導入例も交えてわかりやすく解説しています。
✅ 「ラグの少ない移動平均線で、トレンドの変化に早く対応したい」
そんな方にとって、TEMAは非常に強力な武器となるでしょう。
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TEMAとは?|三重指数移動平均の基本知識
TEMA(Triple Exponential Moving Average)とは、「三重指数移動平均」とも呼ばれるテクニカル指標の一種で、通常のEMA(指数移動平均)よりもラグ(遅延)が少なく、価格変動により敏感に反応するのが特徴です。
TEMAは、オリジナルのEMAを3段階にわたって加工・補正することで、価格のノイズ(無意味な小さな上下動)を抑えつつ、トレンドの変化をより正確にとらえられるよう設計されています。
視覚的にも滑らかで美しく、トレンドフォロー型のトレーダーにとって有効なサポートツールとなります。
✅ なぜTEMAが使われるのか?
移動平均線は市場の流れを把握するために広く使われていますが、特にEMAは「価格への反応が早い」ことで人気です。
しかし、それでも**遅延(ラグ)**の影響で、エントリーやエグジットの判断がワンテンポ遅れてしまうことがあります。
TEMAはその課題を解決するために開発されたもので、以下のような利点があります:
- より滑らかで精度の高いトレンドラインを描画できる
- 過去データの影響を減らし、現在の価格変化に敏感に反応
- 従来のEMAよりもノイズが少なく、だましを減らせる可能性がある
TEMAは単体でも十分活用できますが、他のインジケーターと組み合わせることで、さらに強力なトレード判断ツールとなります。
次のセクションでは、TEMAの具体的な計算方法と仕組みについて詳しく解説します。
TEMAの計算式と仕組み
TEMA(Triple Exponential Moving Average)は、その名のとおり3段階の指数移動平均(EMA)を組み合わせて構成される移動平均線です。
ラグ(遅延)を最小限に抑えながら、滑らかで応答性の高いトレンドラインを描画することを目的に開発されました。
✅ 計算のステップ構造
TEMAは以下の4つのステップで計算されます:
① EMA1(第一指数移動平均)
まず、通常のEMAを計算します。
EMA1[t] = α × Price[t] + (1 – α) × EMA1[t–1]
ここで、
α(平滑化係数)= 2 ÷ (期間 + 1)
Price[t]:現在の価格
② EMA2(EMA1のEMA)
次に、EMA1に対して再度EMAを計算します。
EMA2[t] = α × EMA1[t] + (1 – α) × EMA2[t–1]
③ EMA3(EMA2のEMA)
さらに、EMA2に対してもEMAを計算します。
EMA3[t] = α × EMA2[t] + (1 – α) × EMA3[t–1]
④ TEMAの計算
上記3つのEMAを使ってTEMAを求めます。
TEMA[t] = 3 × EMA1[t] – 3 × EMA2[t] + EMA3[t]
✅ 計算式の特徴と意図
- **「3×EMA1 − 3×EMA2 + EMA3」**という構造は、ラグの原因となる成分を相殺しながら、トレンド方向をより忠実に反映するために設計されたものです。
- 1本のEMAに比べて反応が早く、トレンドの立ち上がりや転換点を早期に察知するのに適しています。
- ノイズを除去しつつ、感度も維持しているため、視認性と機能性のバランスが取れた移動平均線と言えます。
TEMAの特徴とメリット
TEMA(三重指数移動平均)は、EMAを3段階で処理することで、「ノイズの少なさ」と「反応の速さ」を両立したテクニカル指標です。
特に、トレンドフォローを重視するトレーダーにとって、以下のような明確な利点があります。
✅ 1. ラグ(遅延)が少ない
従来の単純移動平均(SMA)や指数移動平均(EMA)では、トレンドの変化に対して表示が後手に回ることがありました。
TEMAは、EMAを多段階で補正することでこの遅延(ラグ)を最小限に抑える設計になっており、トレンド初動への反応が早いのが最大の特徴です。
✅ 2. ノイズを抑えた滑らかなライン
TEMAは、チャート上での過度な上下のブレを滑らかにする効果があり、視認性が非常に高いです。
そのため、相場の流れを直感的に把握しやすく、裁量判断のサポートツールとしても優秀です。
✅ 3. トレンド転換を早期に捉えやすい
TEMAは、価格がラインを上抜け・下抜けするポイントを比較的早く表示するため、エントリーやイグジットの判断材料としても活用できます。
また、複数のTEMA期間(短期・中期・長期)を同時表示することで、より信頼性の高い転換シグナルを得ることも可能です。
✅ 4. 他の指標との相性が良い
TEMA単体でも使えますが、RSI・MACD・ボリンジャーバンドなどと組み合わせることで、トレード戦略の精度がさらに高まります。
特に、ダマシの排除や相場の過熱感の補完には有効です。
💡 裁量トレーダーにも、システムトレードの補助にも活用できる柔軟性が、TEMAの大きな魅力です。
TEMAの使い方と売買戦略
TEMAは、トレンドの方向性を確認し、売買のタイミングを判断するための補助ツールとして幅広く使われています。
ここでは、MT4にTEMAを表示したあと、どのように分析・活用していくのかを、実践的な視点で解説します。
トレンドの確認方法
- TEMAが右肩上がり:上昇トレンドと判断
- TEMAが右肩下がり:下降トレンドと判断
- TEMAが横ばい・細かく上下している:レンジ相場の可能性あり
TEMAは滑らかなライン形状を持つため、方向感を視覚的に把握しやすく、トレンドフォロー型の手法に向いています。
エントリーシグナルの見つけ方
以下は、シンプルなクロス戦略の一例です:
- 価格がTEMAを上抜けた場合:買い(ロング)のエントリーシグナル
- 価格がTEMAを下抜けた場合:売り(ショート)のエントリーシグナル
ただし、これらのクロスだけに頼ると「ダマシ」のリスクがあるため、次に解説する「フィルターの併用」が重要です。
他のインジケーターとの併用
TEMA単体ではトレンド方向はわかっても、トレードの「強さ」や「過熱感」までは把握しきれません。
そのため、以下のようなインジケーターと組み合わせることで、エントリー・エグジット判断の信頼性を高めることができます。
併用インジケーター | 目的・効果 |
---|---|
RSI | 過熱感・逆張り補助 |
MACD | トレンドの強弱や勢い |
ボリンジャーバンド | ブレイクアウト判断 |
平均足 | ローソク足のノイズ除去 |
時間足の選び方と注意点
- 短期足(5分・15分足):騙しが多くなるため、他指標との併用が前提
- 中期足(1時間・4時間足):TEMAの特性を最も活かしやすい
- 長期足(日足):大きなトレンド把握に適するが、エントリーチャンスは減る
💡 特に初心者には、1時間足での中期トレンド確認と、短期足でのタイミング計測という“マルチタイムフレーム分析”がおすすめです。
TEMAインジケーターのダウンロードと導入手順
TEMAインジケーターは、無料でダウンロードしてMT4に導入することが可能です。
ここでは、インジケーターの取得からチャートへの表示までの流れをステップ形式で解説します。
✅ ステップ1|TEMAインジケーターをダウンロード
まずは、以下のリンクからTEMAインジケーターのファイル(.ex4
形式)をダウンロードします。
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✅ ステップ2|MT4のインジケーターフォルダに配置
- MT4を起動
- メニューから「ファイル」>「データフォルダを開く」をクリック
- フォルダ内で「MQL4」→「Indicators」を開く
- ダウンロードした
TEMA.ex4
ファイルをこのフォルダにコピー - MT4を再起動
✅ ステップ3|チャートにTEMAを表示させる
- MT4左側のナビゲーターウィンドウを開く(ショートカット:Ctrl + N)
- 「インディケーター」リストから「TEMA」を見つける
- 任意のチャート上にドラッグ&ドロップ
- パラメーター(期間や色など)を好みに応じて設定し「OK」
✅ インストール時の注意点
.ex4
形式のファイルはコンパイル済みなので、MetaEditorは不要です- インジケーターが表示されない場合は、ファイル配置ミス・再起動忘れ・MT4のビルド非対応などが原因として考えられます
- 正しく動作しない場合は、まずデモ口座で動作確認をするのが安心です
💡 MT4初心者の方は「Indicators」フォルダに入れたあと、MT4本体を忘れず再起動してください。読み込みが反映されないことがあります。
TEMAのソースコードと技術解説(学習者向け)
この章では、TEMA(Triple Exponential Moving Average)インジケーターのMQL4ソースコードの構造と仕組みを、プログラミング初心者にもわかりやすく解説します。
✅ 基本プロパティの定義
#property strict
#property indicator_chart_window
#property strict
:コーディングの安全性を高める設定で、記述ミスを厳しくチェックします。#property indicator_chart_window
:このインジケーターはチャート本体に表示されるタイプであることを指定。
✅ 入力パラメーターの設定
input int InpPeriod = 14; // Period
InpPeriod
はTEMAの計算に使用する期間を指定する変数。初期値は14。
✅ バッファ(表示データ)の定義
double TEMA_Buffer[];
TEMA_Buffer[]
は、TEMAの計算結果を**チャートに描画するための配列(バッファ)**です。
✅ OnInit関数(初期化処理)
int OnInit() {
SetIndexBuffer(0, TEMA_Buffer);
SetIndexStyle(0, DRAW_LINE, STYLE_SOLID, 1, clrGold);
SetIndexLabel(0, "TEMA");
IndicatorShortName("TEMA("+IntegerToString(InpPeriod)+")");
return(INIT_SUCCEEDED);
}
SetIndexBuffer()
:TEMAの計算結果を描画用バッファに割り当てSetIndexStyle()
:線のスタイル(色・太さなど)を設定SetIndexLabel()
:凡例に表示されるラベル名を指定IndicatorShortName()
:チャート左上に表示されるインジケーター名を指定
✅ OnCalculate関数(主要な計算ロジック)
int OnCalculate(const int rates_total, const int prev_calculated, ...) {
// 略:各EMAを順番に計算 → 最終的にTEMA値を求めてバッファに格納
TEMA_Buffer[i] = (3 * EMA1[i]) - (3 * EMA2[i]) + EMA3[i];
return(rates_total);
}
この関数は、新しいローソク足が追加されるたびに呼び出される処理です。
rates_total
:現在のチャート上にあるローソク足の本数prev_calculated
:前回の計算時点での本数(再計算を最小限にするために使われる)
TEMAは以下のようにして計算されます:
- EMA1:現在の価格から1回目のEMAを算出
- EMA2:EMA1に対して再度EMAを算出
- EMA3:EMA2に対してさらにEMAを算出
- TEMA:
3×EMA1 − 3×EMA2 + EMA3
の式でTEMAを計算 - 結果をバッファへ格納:
TEMA_Buffer[i]
に格納され、チャートに描画される
✅ 学習者向けワンポイント解説
ArrayResize()
やIndicatorCounted()
などの関数は、高速処理や計算の効率化に欠かせない要素です。- TEMAのように複数段階のEMAを使うインジケーターは、ロジックが明快なためMQL4学習に最適です。
- 描画されるのは最終的に
TEMA_Buffer[]
の中身だけ。中間のEMAは裏側での計算専用です。
💡 ソースコードのカスタマイズ(期間や色、スタイル変更)も比較的簡単なので、MQL4初心者が自作インジケーターに慣れる第一歩としておすすめです。
よくある質問(FAQ)
- TEMAとEMAの違いは何ですか?
-
TEMA(Triple Exponential Moving Average)は、EMAを3段階で補正した移動平均線で、通常のEMAよりもラグ(遅延)が少なく、価格に対する反応が速いのが特徴です。
滑らかさと敏感さを両立しており、トレンド転換を早期にとらえやすいというメリットがあります。 - TEMAはどの時間足で使うのが効果的ですか?
-
TEMAは1時間足~4時間足の中期トレードに特に向いています。
短期足ではダマシが多くなりやすく、長期足では反応の速さという利点が活かしにくくなります。
なお、上位足でのトレンド判断にTEMAを使い、短期足でタイミングをとるマルチタイムフレーム分析もおすすめです。 - TEMAインジケーターがMT4に表示されません。どうすればよいですか?
-
以下の点を確認してください:
.ex4
ファイルを正しいフォルダ(MQL4/Indicators
)に配置しているか- MT4を再起動しているか(インジケーターを読み込むために必須)
- MT4のビルドが古い場合は最新バージョンに更新してみてください
- ナビゲーターウィンドウにTEMAが表示されているか確認し、表示されない場合はファイル破損の可能性もあります
- 他のインジケーターと一緒に使っても問題ありませんか?
-
はい、TEMAは単体でも有用ですが、RSIやMACDなどのオシレーター系指標と併用することで、売買判断の精度が高まります。
TEMAでトレンド方向を確認し、他の指標でエントリーポイントを絞り込むのが基本的な使い方です。 - TEMAは自作インジケーターの学習に向いていますか?
-
非常に向いています。TEMAは構造が明快で、EMAを段階的に処理するだけのシンプルな設計なので、MQL4の勉強にも最適です。
期間やスタイルの変更、複数ラインの描画など、カスタマイズの練習素材としても優れています。
まとめ|TEMAでトレンド判断の精度を高めよう
TEMA(Triple Exponential Moving Average)は、ラグの少なさ・反応の速さ・視認性の高さを兼ね備えた移動平均インジケーターです。
価格のノイズを抑えつつ、トレンドの変化に敏感に反応するため、特に中期トレードやトレンドフォロー戦略との相性が良好です。
TEMAを活用することで、以下のようなトレード判断がより精度の高いものになります:
- チャート上でのトレンドの強弱や変化を視覚的に把握
- 他の指標との併用によるエントリー・エグジットの精度向上
- EMAやSMAよりも早く相場の転換点を察知できる可能性
ただし、TEMAは万能な売買サインではなく、「補助的な判断材料」の1つとして使うのが基本です。
他のインジケーターやローソク足のプライスアクションと組み合わせることで、より安全で安定したトレードが可能になります。
✅ 「ラグを減らして、トレンドの流れを早くつかみたい」
そんなあなたにとって、TEMAは非常に有力な選択肢になるはずです。
まずはデモ口座などでTEMAの挙動に慣れ、自分の戦略に合った使い方を見つけていきましょう。
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