「MT5で自動売買を始めたいが、無料のEAはどこで手に入るのか」「無料と言われると逆に怪しい」——この記事は、その2つの疑問にEAを実際に開発・配布している立場から答えるものです。
先にお断りしておくと、この記事では「おすすめEA第1位は〇〇」という順位付けはしません。具体的なEA名から選びたい方は、MQL5マーケットの人気無料EAを毎月実際にバックテストして順位付けしている 無料EAランキング(毎月更新) へどうぞ。本記事が担当するのは、その手前にある「どこで探し、何を基準に選ぶか」の全体地図です。
MT4には長年の蓄積で無料EAが大量にありますが、MT5は事情が違います。配布サイトの多くはいまだMT4中心で、MT5対応の無料EAは「どこで・どう探すか」を知らないと選択肢が一気に狭くなります。一方で、MetaQuotes公式のMQL5マーケットはすでにMT5が主戦場であり、探し方さえ分かれば選択肢はむしろ豊富です。
まず結論の全体像です。
| 入手経路 | 数 | 審査・信頼性 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ① MQL5マーケット(公式) | 最多 | 出品審査あり・レビュー公開 | 玉石混交。選び方が必須 |
| ② 開発者サイトの直接配布 | 少 | 開発者による | 配布者の素性確認が必須 |
| ③ 口座開設特典型(IB型) | 中 | サイトによる | 「無料の理由」を理解して使う |
| ④ コピートレード型 | 中 | 提供者による | EAファイル自体は受け取らない方式 |
入手先①:MQL5マーケット——最有力だが「選び方」がすべて
MetaQuotes公式のMQL5マーケットには、MT5対応の無料EAが多数並びます。出品には審査があり、レビュー・ダウンロード数・出品者の履歴が公開されているため、無料EA探しの第一候補はここです。
探し方の実務手順:
- マーケットで「MetaTrader 5」→「エキスパート」→「無料」で絞り込む
- 評価(星4以上)とレビュー件数の両方を見る(件数が一桁の星5より、数十件の星4)
- 出品者プロフィールで「シグナル公開の有無」を確認する(後述)
ひとつ注意を。マーケットのレビューや星評価は参考情報であって、水増しの可能性を完全には排除できません。だからこそ後述の選び方では、レビューではなくフォワード実績(シグナル)を一次基準に置きます。
入手先②:開発者サイトの直接配布
EA開発者が自サイトで無料配布しているケースです。数は少ないものの、開発者の顔と説明が見えるのが利点です。確認すべきは次の3点:
- 運営者情報が実名・具体的に書かれているか
- バックテストの検証条件(期間・スプレッド設定・初期資金)まで開示しているか
- 結果の良い部分だけでなく、ドローダウンや負けた期間も見せているか
この3点が揃わない配布サイトは、中身がどうであれ検証のしようがありません。
入手先③:口座開設特典型——「無料の理由」を開発者が正直に説明する
「指定ブローカーで口座を開設すると無料でEAがもらえる」型です。ここで必ず出る疑問が「なぜ無料なのか」。
仕組みを正直に書きます。この型の提供者は、紹介した口座の取引量に応じてブローカーから紹介料(IB報酬)を受け取ります。つまり「あなたがEAを長く使い続けてくれること」が提供者の収益であり、すぐ壊れるEAを配ることは提供者自身の損になる構造です。当サイトもこのモデルで無料EAを提供しているため、これは第三者の解説ではなく当事者の開示です。
ただし誤解しないでください。この構造は「提供者と利用者の利益の向きが揃いやすい」ことを意味するだけで、EAの品質を保証するものではありません。型③を選ぶときの実際の判断材料は次の2つです:
- 「無料の理由」(収益構造)を提供者自身が明示しているか。曖昧にしているサイトより、開示しているサイト
- 指定ブローカーの取引条件が不利でないか。確認方法は簡単で、スプレッドの実測データを見ることです。当サイトの海外FXスプレッド実測比較のような、時間帯込みの実測値と見比べてください
入手先④:コピートレード型——EAファイルを受け取らない無料
EA本体を配布する代わりに、提供者の口座の売買をコピーで受け取る方式です。ファイル設置や設定ミスの余地が少ない一方、提供元の運用そのものに依存するため、提供元がどんな検証を経た運用かの確認が重要です。
技術面の正確な前提をひとつ。MQL5公式のシグナルサービスは同一プラットフォーム内(MT5→MT5、MT4→MT4)のコピーが基本です。MT4のEAの売買をMT5口座で受けるようなプラットフォームを跨ぐコピーには、別途コピートレードツール(コピアー)を使う必要があります。ツールの選択肢はコピートレードツール解説にまとめています。
開発者視点の選び方——5つだけ挙げる
選び方の詳細はランキング記事の8ポイントに譲り、ここでは開発者として「これが無いEAは自分なら使わない」というものだけ挙げます。
- フォワード実績(ライブシグナル)があるか。バックテストは作った本人がいくらでも磨けます。第三者サーバーで動いている実績(MQL5のシグナル等)は磨けません
- マーチンゲール・グリッドを使っていないか。破綻リスクの典型構造です。説明文に明記がなければ、ロット推移をバックテストで自分で確認する
- 最大ドローダウンを本人が言っているか。利益だけ語りDDを言わないEAは、その時点で選外
- 戦略タイプの開示があるか。ロジックの全公開は模倣の問題があり求めすぎですが、「何型のEAか」すら言わないのは論外
- 検証条件の開示があるか。期間・スプレッド・初期資金を明示しないバックテスト画像は比較不能です
当サイトの無料EAについて——同じ基準で見てください
当サイト(TOKYO-EA)は、MT4向け無料EA「BBF」を約33万件の検証データとともに提供してきました。後継はMT5専用EA「BBF_Cycle」です。
BBF_Cycleは検証の途中経過を隠さず公開する方針で開発しているEAです。デモフォワード→同一条件バックテストとの突合→リアル運用→無料シグナル公開、という4段階で検証しており、その様子はX(旧Twitter)でも実況しています。いま検証がどの段階にあるか、検証条件と実測データを含めて BBF_Cycle公開検証レポート で随時更新しています。
ひとつ明確にしておきます。この記事は無料EAの選び方を解説する記事であると同時に、無料EAを提供する当事者が書いた記事です。だからこそ、上の選び方5項目はTOKYO-EAのEAにもそのまま当てはめて読んでください。フォワード実績・検証条件・ドローダウンの開示——当サイトがこの基準を満たせていない点があれば、それは読者ではなく当サイトの課題です。
導入前に知っておくべき2つの実務
VPSの要否:EAは24時間稼働が前提のものが多く、自宅PCの常時稼働は現実的ではありません。MQL5内蔵VPSを含む選択肢は MetaTrader VPS解説 を参照してください。
複利(自動ロット増加)設定の確認:無料EAの中には、口座残高に応じてロットが自動で増える複利設定を持つものがあります。初期設定のまま気づかず大きなロットで動いていた、が無料EA事故の典型です。導入時に必ずロット設定の方式(固定か複利か)と数値を確認してください。
よくある疑問への回答(考察)
「無料EAを配る側は、実際いくら儲かるのか?」
紹介料の料率はブローカーとの個別契約で、当サイトも具体的な金額は公開していません(他社も同様のはずです)。ただ、判断に必要なのは金額ではなく構造です。報酬は取引量に比例するため、提供者の収益は「利用者が退場せず取引を続けること」に依存します。1ヶ月で口座を溶かすEAを配る動機が構造的に無い——確認すべきはこの整合性が成立しているか(=収益構造を開示しているか)です。
「この記事自体、TOKYO-EAのEAへの誘導では?」
半分はその通りで、当サイトは無料EAの提供者です。だからこの記事は「中立の第三者」としてではなく、利害関係を先に開示した当事者として書いています。中立を装った比較サイトより、立場を明示した上で検証可能な基準(フォワード・検証条件・DD開示)を提示する方が、読者が自衛できると考えるためです。基準は当サイトにも適用してください。
「MQL5マーケットの星評価は信用できるのか?」
完全には信用できません。レビューは操作の余地がゼロではなく、また「無料EAのレビュー」は使い込む前の第一印象で書かれがちです。開発者としての答えは、星は入口のフィルタに留め、判断はフォワード実績(シグナル)と自分のバックテストで行う、です。
開発者メモ
無料EAを配り始めた頃は、ファイルをそのまま渡していました。口座を開いてもらい、紐づけが確認できたらEAを送る、という素朴なやり方です。当時は今よりサイトの訪問者も少なかったのですが、EAを希望する人はむしろ今より多かった記憶があります。
長く配ってきて感じるのは、多くの人がまず欲しいのは「毎月の利益」そのものというより、「EAを自分の手元に持って、自分で確かめること」なのだということです。これは責める話ではありません。道具を手に入れて自分の目で試したい、という気持ちはよく分かります。ただ提供する側からすると、渡して終わりでは、そのEAが実際に機能したのか、使う人がうまく運用できたのかが最後まで見えません。今の「口座を通じて継続的に提供する形」にしたのは、渡した後の運用まで付き合える関係にしたかったからです。
導入で一番つまずくのは、たいてい設定まわりだと思います。だからマニュアルとサポートは、できるだけ丁寧にするようにしています。
もう一つ。無料EAの案内に、ごくまれに「なぜこんな案内を送るのか」と身構えた反応をいただくことがあります。最初は戸惑いましたが、今は少し分かる気がします。無料のものへの警戒は、たいてい過去のどこかで裏切られた経験の裏返しです。だからこそ、こちらにできるのは「なぜ無料なのか」を隠さず説明することと、検証を最後まで公開し続けることくらいしかない——そう思っています。
FAQ
Q. MT5の無料EAだけで利益は出せますか?
A. 出せる可能性はありますが、保証はどこにもありません。無料・有料を問わずEAは「過去に機能したロジック」であり、将来の相場で同じように機能する保証がないのは同じです。だからこそフォワード実績と検証条件の開示を確認してください。
Q. MT4用の無料EAをMT5で使えますか?
A. ファイルの互換性がないため、そのままでは使えません。MT5版の提供有無を確認するか、コピートレードツール(コピアー)でMT4口座の売買をMT5口座へコピーする方法があります。詳細は MT4からMT5への移行ガイド と コピートレードツール解説 を参照してください。
Q. 無料EAと有料EAはどちらが優れていますか?
A. 価格と性能は比例しません。判断基準は価格ではなく、フォワード実績・検証条件の開示・リスク説明の誠実さです。
※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の売買や投資判断を推奨するものではありません。EAの利用は必ずご自身の判断と責任で行ってください。








